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老化はもうすぐ「治療できる病気」になる

2016年12月30日(金)19時49分
ロナルド・ベイリー(米リーズン誌サイエンス担当)

 ニコチンアミドリボシドを人に投与する臨床実験で、人体に有害な影響は確認されず、NAD+が増加したという研究結果も明らかになった。

 免疫機能を強化する方法もある。免疫機能は加齢とともに使い古されるため、体を細菌の侵入から守り癌細胞などを破壊することが徐々にできなくなる。寿命を延ばす効果があるとされる「ラパマイシン」を使った2014年の研究では、65歳以上の人の免疫機能が著しく強まることが分かった。

「老化防止に特化してラパマイシンを活用すれば、加齢に伴うあらゆる問題を根本で改善できる」と、論文の発表当時、アルベルト・アインシュタイン医学校の加齢研究所長ニール・バルジライはコメントを寄せた。

 老化学者のアレックス・ザヴォロンコフとブピンデル・ブラーは、2015年に発表した論文でこう述べた。「老いを病気に分類すれば、老化は治療可能だとする新たなアプローチやビジネスモデルが生まれ、経済と医療の両面であらゆる当事者にとって有益な結果をもたらす」。

 それなら、もっと前から研究を進めておいてほしかった。こうしている間にも、みんな年を取り続けているのだから。

This article first appeared on Reason.com
Ronald Bailey is a science correspondent at Reason magazine and author of The End of Doom (July 2015).


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