米中関税の相互的な引き下げ必要、進展に緊張緩和不可欠=米財務長官

ベッセント米財務長官は23日、中国との貿易を巡る交渉を進展させるには緊張緩和が必要とし、米中が互いに表明している関税率を現在の過度に高い水準から引き下げる必要があるとの見解を示した。 1月撮影(2025年 ロイター/Kevin Lamarque)
[ワシントン 23日 ロイター] - ベッセント米財務長官は23日、中国との貿易を巡る交渉を進展させるには緊張緩和が必要とし、米中が互いに表明している関税率を現在の過度に高い水準から引き下げる必要があるとの見解を示した。
ベッセント長官は国際通貨基金(IMF)・世界銀行の春季会合に出席した際に記者団に対し、世界の二大経済大国が貿易関係を再調整するためには緊張緩和が必要との考えを示した。
このことは米国の対中関税率145%、中国の対米関税率125%の引き下げを意味するのかとの質問に対して、「そうあるべきだと考える」とし、「米国も中国もこれが持続可能な水準とは考えていない。禁輸措置に相当する水準だ。両国間の貿易の断絶は誰の利益にもならない」と述べた。
この日は米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)がホワイトハウス当局者の情報として、トランプ政権は中国との緊張緩和を目指し、中国製品に対する関税を50─65%程度に引き下げることを検討していると報じた。
ベッセント氏はこの報道について「そのような議論が行われているとすれば驚くべきことだ」と指摘。同時に、トランプ大統領が一方的に関税率を引き下げると提案することはないとし、「相互的な形で関税率が引き下げられても驚くべきことではない」と述べた。
中国との協議開始の時期については特定の時間枠はないものの、トランプ大統領と中国の習近平国家主席の会談前に、まず実務レベルの協議が必要になると指摘。米中合意には2─3年かかるとするこれまでの発言について、交渉期間ではなく完全な再均衡プロセスにかかる期間だと説明。合意のための交渉はこれよりもかなり速いペースで進むとの見方を示した。
その上で、トランプ政権は交渉を通して関税措置を巡る確実性の回復に取り組んでいるとし、各国は高水準の相互関税の適用を回避したいため、交渉が長期化することはないと予想。トランプ政権が導入する関税率の最終的な水準は、今年第3・四半期に明確になるとの見方を示した。
また、トランプ政権の経済政策で、特にエネルギー生産の拡大を通して米国の経済成長率は3%まで押し上げられると予想。国際通貨基金(IMF)が最新の「世界経済見通し」で米国の今年の経済成長率予測を0.9ポイント下方修正し、1.8%としたことについては、懸念していないと語った。