1日おきに魚と肉......栄養のかたよりを防ぐ永山流食事法
牛肉が他の肉よりも赤い色をしているのは、鉄分をたっぷり含んでいるからで、貧血の予防や改善に効果があります。豚肉の特色は、何といってもビタミンB1が多いことでしょう。これは炭水化物をエネルギーに変える際に欠かせないビタミンで、疲労を回復させる効果があります。
鶏肉にはビタミンAが多く、これは感染症を予防して眼の若さを保つお手伝いをします。さらに、鶏の胸肉に多く含まれるカルノシンは抗酸化力が強く、老化を防止してくれます。
ですから、これら魚、牛肉、豚肉、鶏肉を、一日おきに食べるのが賢い食事といえます。体に良く、おいしく、しかも財布にやさしい。いつまでも若々しく、元気に暮らすための生活の知恵です。
上京したての頃、新宿の肉屋で売れ残りの豚の内臓を、タダでいただいたことがあります。
「兄ちゃん、安いだろう」という肉屋のオジサンに、私はポケットの小銭を握りしめて、「バス代しかないから」と答えました。
すると「兄ちゃん、フクシマか? 俺もそうだよ。バス代しかない? わかった。いいから、持ってけ。痩せて、倒れそうだぜ」といいました。「マンガ描いてる? そうか。このモツ、明日は売り物にならねえから、タダでいいよ。がんばれよ」と持たせてくれたのです。
私の福島なまりでわかったのでしょう。その夜、私はポツンと灯った暗い裸電球の下で、キャベツと一緒に人の情(なさ)けを嚙み締めました。
※シリーズ第4回:甘酒......心の傷まで治してくれる、飲む点滴・甘酒
『ひと月1万円!体にやさしい
昭和のシンプル食生活』
永山久夫 著
CCCメディアハウス