アメリカ大統領選、クリントンの白人支持基盤はなぜ崩壊したか
クリントン氏は、黒人やヒスパニック系の票においてトランプ氏を上回ったが、そのような強みを多様な都市部で活用して支持連合を形成しようという同氏の努力は、白人層に強いトランプ氏にひっくり返された。一方でトランプ氏は、2012年のロムニー氏とほぼ同程度のマイノリティー票をどうにか維持した。
このようなパターンは地方だけでなく、多くの大都市郊外、とりわけラストベルトや南部においても見られた。こうした地域は、過去2回の大統領選でオバマ氏を支持している。
「かなり基盤が物を言う選挙だったが、あるグループは他よりも投票所に有権者を向かわせることがうまかった」と、南フロリダ大学の政治学教授であるスーザン・マクマナス氏は指摘する。
ノースカロライナ州ゲイツ郡では、不法移民やイスラム社会の過激化に対する取り締まりといったトランプ氏の公約に共鳴したと、キリスト教福音主義派の牧師であるエリック・J・エアハートさん(49)は話す。
人口1万2000人の同郡では、2012年の大統領選においてオバマ氏が52%の票を獲得して勝利した。しかし今年はトランプ氏が得票率53%で同郡を制している。
期待外れ
かつて鉄鋼の町として栄えたペンシルベニア州ノーサンプトン郡と近隣のリーハイ郡は、同産業の衰退からは現在、回復している。
両郡にまたがるベスレヘムの古い製鋼所の周辺では、米カジノ運営大手、ラスベガス・サンズによる従業員数2400人のカジノリゾートなど、新たな開発が急速に進んでいる。