まるで鎖国、トランプ移民政策のすべて──専門職やグリーンカードも制限、アメリカの人口も減る!
3)アメリカで生まれた人に自動的に米国籍を認めるのはやめる
これには合衆国憲法の改正が必要になりそうだが、著名なアメリカ人法学者リチャード・アレン・ポズナーは法律を改正すれば可能だと解釈している。
現行制度は法の下の平等を保障する合衆国憲法修正第14条よりもずっと昔に定められたもので、何世代にもわたり移民がアメリカに同化するうえでの拠り所となってきた。出生地での国籍付与を認めなかったヨーロッパの国々と比べると、アメリカの移民の境遇は対照的だ。もしこの法制を廃止するなら、国籍に関する法規で根拠となる概念が、現行の「出生地主義」から「血統主義」に取り換えられることになる。
4)不法移民強制送還の免除政策(DACA)を停止する
バラク・オバマ大統領は12年、入国時に15歳以下だった約66万5000人の不法移民の若者に、一定の条件を満たせば一時的な就労を許可し、強制送還を免除する政策を打ち出した。
DACAを継続するかどうかは、大統領に委ねられる。トランプの移民政策の方針書に明記はされていないが、トランプが更新を停止してこの制度を廃止に追い込む可能性は高い。
DACAの適用を申請するために提出された個人情報を手に入れればトランプ政権は不法滞在者の特定が可能になり、彼らをより効率的に強制送還するための証拠として転用する可能性がある。DACAの恩恵を受けてきた不法移民やその家族、友人らは、互いの関係を引き裂かれる人道上の悲劇に直面しそうだ。
合法・不法を問わず
5)不法移民を強制収容する
アメリカ国内で逮捕された全ての不法移民を収容する。この政策はすでに一部で実施されているが、トランプ政権は規模を一気に拡大する。それには、暴力や貧困から逃れて密入国した中米出身の子どもたちの収容施設を造ったのと同じように、新たな施設を建設する必要があるだろう。
【参考記事】不法移民、トランプが強制送還部隊の創設を提唱
6)合法的な移民の数も減らす
トランプは方針書で、外国人労働者に対するグリーンカードの新たな付与を「一時停止」するよう主張している。目的は「雇用されていない国内の移民や従業員を優先して雇わせるため」だ。
14年に発行された雇用に基づくグリーンカードは15万1596人分で、うち86%は別のビザですでにアメリカ国内に滞在していた人々が取得した。残りの14%は海外に居住していた労働者に割り当てられた。米政府は同年、家族関係に基づく64万5560人分のグリーンカードを発給し、すべての取得者がアメリカで就労することを認めている。