「これは戦争だ」比ドゥテルテ大統領の右腕、死者増加を予想
他国からの批判に対して、長官は苛立ちを示す。米国が殺害について「深く懸念」していると述べたほか、国連の専門家2人も、ドゥテルテ大統領が、国際法が禁じる暴力の扇動を行っていると告発した。
「彼らは私たちを殺人者に仕立て上げようとしている」と長官は言う。「本当に心を痛めている。私たちはフィリピン国民のために良かれと思ってやっているのに」
デラロサ長官によれば、麻薬撲滅作戦が開始される以前には、人々は恐がって家を出なかったという。「今、状況は逆転した。法律を守る人々が外に出て、犯罪者が隠れるようになっている。その違いが分かるだろうか」
だが、他の重大犯罪が減少する一方で、殺人率は急増。一部の地域住民はロイターに対し、警察と自警団による殺戮があまりにも怖いので、暗くなってからは外出しなくなったと話している。
大統領との二人三脚
以前はボクサーになることを夢見ていたというデラロサ長官は、ダバオ市の南にある故郷にちなんで「バト」という愛称で知られている。現地のタガログ語では「岩」という意味もある。
長官の亡父は輪タクの運転手で、彼を学校にやるのが精一杯の暮らし向きだった、と長官は6月フェイスブックに追悼文を投稿している。
ダバオ市はドゥテルテ大統領が22年にわたって市長を務め、苛酷な麻薬撲滅作戦を行った場所である。同市の警察で昇進するなかで、武闘派のデラロサ氏もこれに参加するようになった。
「私は彼のやることが気に入ったし、彼も私のやることを気に入っていた。それで、私たちは友人になった」と長官は回想する。ドゥテルテ氏が彼をダバオ市警察署長に据えたのは2012年である。