「これは戦争だ」比ドゥテルテ大統領の右腕、死者増加を予想
ダバオに本部を置く人権団体は、同市において自警団とみられる殺人が1424件あったと記録。そのうち162件が、デラロサ氏が警察署長を務めていた2012─2013年に発生した。
この調査結果について質問すると、長官は「調べてみる」と述べ、「そのようなデータは記憶にない」と付け加えた。
ドゥテルテ大統領は、他のもっと高位の警察官僚を飛び越えて、デラロサ氏を長官の座に据え、ダバオ風の苛酷な犯罪撲滅モデルを全国展開する自由裁量権を与えた。
銃コレクター
フィリピン国内のさまざまな民族が暮らす高地バギオに設けられた警察拠点で、デラロサ長官は部族風の髪飾りと衣装をまとい、麻薬撲滅の努力をたたえ、現地の警察官たちを表彰した。
何百人もの警察官が、長官と一緒に自撮り写真を撮りたがり、長官はそのたびに希望に応じた。人々の陰に隠れて、長官のトレードマークであるスキンヘッドしか見えないことさえあった。
だが、警察の宿営地でさえ長官は6人のボディガードに囲まれていた。彼は「(麻薬密売業者が)いつ私を殺しに来るか分からない」と語った。
長官は、国内人気トーク番組のインタビューのなかで、大学時代に2回マリファナを試してハイになったことがあるが、将来が台無しになると思ってやめたと語っている。
他のテレビ番組では、警察官としてのキャリアのなかで撃った人数について、「(警察)長官が殺人者だと言われかねない」という理由で答えなかった。
デラロサ長官を取材したことのある現地のジャーナリストたちは、同長官が喫煙や飲酒するところを一度も見たことがないと語る。彼の主な趣味は銃の収集だという。
「彼は銃を愛している」と語るのは、ダバオ市でデラロサ氏の部下だったアーロン・アキノ警視正で、現在は麻薬戦争関連で約500人の死者を出しているルソン島中心部で指揮を執っている。「彼はよい銃を見かけるたびに購入している」と話した。