ビットコインだけじゃない、ブロックチェーン技術を使った注目のスタートアップ
ブロックチェーンの国内の市場規模は67兆円
経済産業省は2016年4月に、仮想通貨ビットコインなどで使う技術「ブロックチェーン」の調査報告書をまとめ、潜在的な国内市場規模は67兆円になると予測しています。
ブロックチェーンは、ビットコインのように金融での利用はもちろん、資産管理、認証、医療、IoTなど、様々な分野で利用が可能とされています。まだまだ実際のビジネスで運用されたケースは少なく、ブロックチェーンの特徴がうまく発揮されるか、予想外の問題が発生しないかなど、手探りのものも多いのが現状です。
参考: 「ブロックチェーン技術を利用したサービスに関する国内外動向調査」を取りまとめました|経済産業省
ブロックチェーンを活用した非金融のスタートアップ
非金融でのブロックチェーンの活用は、ただの想像や夢物語ではなく、すでにシリコンバレーを中心にブロックチェーンを非金融分野に活用しようとするスタートアップがいくつも誕生しています。実用にはまだ少し時間がかかるものも多いですが、ブロックチェーンの技術の特徴と、活用の可能性として参考になるものばかりです。
1. サプライチェーン管理 Skuchain
Skuchainは、企業間のトレードファイナンスや、サプライチェーン・ファイナンスのためのブロックチェーンを利用したソリューションを開発しています。取引額が18兆ドルにも上る国際貿易では、そのほとんどが紙による管理に頼っており、信用状や、ファクタリングという古い仕組みが使われています。
貿易の取引は、多くのバイヤー、セラー、物流会社、関税などの複雑な要素が絡み合い、大変複雑です。異なる国間での取引のため、トラブルも発生しやすく、取引にも時間がかかる傾向にあります。日々発生する支払い等の管理も企業の負担となっています。 Skuchainは、ブロックチェーンを用いた信頼性の高いデジタルのソリューションを提供することで、紙ベースのやり取りをなくし、コストを低下させることを目的としています。コストが下がることで、規模の小さな企業でも導入できるようになることも期待されます。
このような取引の記録を保存する仕組みは、ブロックチェーンの特徴を生かしやすく、サプライチェーン以外の分野でも様々なサービスが登場することが予想されます。
2. 認証 Everledger, Verisart
Everledgerは、ダイヤモンドの所有権や、取引の記録を保存する台帳をブロックチェーンの技術を用いて開発しています。 ブロックチェーンの特徴である改ざんの困難さを利用して、ダイヤモンドの所有権を証明します。所有者だけでなく、盗難時に保険会社が利用したり、警察が偽物や盗難の操作のために利用することもできます。
似たサービスとして、Verisartがあります。これは、絵画などの美術品のやり取りの記録を保存するものです。美術品は何億、何十億という高値がつくことも珍しくありません。その一方、贋作は永遠の課題になっています。 Verisartは、ブロックチェーンを用いて美術品のやり取りを記録することで、美術品の所有権と、本物であるかどうかを証明します。その美術品のすべての譲渡、売買の記録が残っていれば、理論上は贋作を見分けることが簡単です。 また、過去に不正な譲渡、売買が行われていれば、その部分だけ取引のデータが記録されないことになるため、不正が行いにくくなります。