ハンズフリー通話も危険運転になる
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<運転中の携帯電話の通話は、たとえハンズフリーにしても、ドライバーの注意を散漫にするという研究結果が>
自動車を運転しながら携帯電話を片手に話をすることは危険だし、多くの国で禁止されている。そこで重宝されているのが、ハンドルから手を放さずに使えるイヤホンマイクなどのハンズフリー通話用の機器だ。
だが英サセックス大学の研究チームは先頃、ハンズフリー通話でもドライバーが道路状況に十分な注意を払えないことを示す論文を発表した。会話により視覚的な想像をしてしまい、脳の処理能力の奪い合いが起きて、本来なら気付くはずの路上の障害物を見落としてしまうという。
研究チームは女性40人と男性20人を対象に、車の運転席に座ってビデオを見てもらう実験を行った。
その際に一部の被験者にだけ、「どこに青いファイルを置いた?」といったような質問を90センチ離れたスピーカーから聞かせる。すると、質問を聞かされた人々はそうでない人々に比べ、道路を横断する歩行者などの障害物に反応するのが平均して1秒近く遅くなったという。
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「ハンズフリー機器を使えば安全という一般通念は誤っている」と語るのはサセックス大学のグレアム・ホール講師(心理学)だ。
「ハンズフリー通話でも、ドライバーの注意は(携帯電話を手にして話すのと)同じくらい散漫になる可能性がある。というのも、ドライバーが話している内容を頭に思い浮かべてしまうからだ。この視覚的イメージが、目の前の路上に見えるものを処理する(脳の)能力を横取りしてしまう」
「実際の運転時でも、電話の相手から『どこに青いファイルを置いた?』と聞かれたら、人は心の中で部屋を想起してファイルを探してしまう。相手の顔の表情まで思い浮かべているかもしれない」
すべての通話を禁止すべき
英運輸省の報道官によれば、運転中に携帯電話を持って通話した場合の罰則強化については検討中だが、ハンズフリー機器の使用を禁止する法改正の予定はないという。
「ハンズフリー機器を使っても注意散漫になりやすいため、ドライバーは電話を使うときには車を止めて安全な場所を探すべきだと現行法には書かれている」と、報道官は言う。