ドイツ議会がアルメニア人「虐殺」を認定、の意味
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<ドイツ連邦議会が1915年のアルメニア人迫害を「オスマン・トルコによるアルメニア人虐殺」だったと認定したことで、トルコ政府は激怒している。将来のEU加盟をにらみ、難民問題の解消でも協力してきたドイツだからこそ尚更だ。両国関係、ひいては欧州情勢にも影響を与えるだろう> 写真は、「虐殺」認定に感謝するアルメニア系ドイツ人
トルコにとって、外国と揉めてばかりの1年だった。アメリカ政府はISIS(自称「イスラム国」、別名ISIL)掃討作戦の一環で、シリアのクルド人武装勢力と手を組んだ。彼らはトルコでテロを行っている勢力だ、と主張してきたトルコは激怒した。ロシアとの関係は、領空を侵犯したロシアの戦闘機を撃ち落とした昨年11月以降一気に冷え込んだ。さらにドイツのテレビで笑い者にされたと感じたレジェップ・タイップ・エルドアン大統領は、ドイツ人コメディアンのヤン・ベーマーマンを告訴した。
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そこへ再び衝撃が襲った。ドイツ連邦議会は2日、オスマン・トルコによる1915年のアルメニア人迫害を「ジェノサイド(虐殺)」だと圧倒的多数で認定した。エルドアン政権が何としてでも防ごうとしていた事態だ。
欧州の歴史問題
第1次大戦では最大150万人のアルメニア人が犠牲になった。この数字は実際より水増しされており、彼らは主として内戦の犠牲者だというのが、トルコの主張だ。
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トルコ政府は直ちにベルリンから大使を召還。エルドアンは、この虐殺認定はトルコとドイツの関係に「深刻な影響」を及ぼすと語った。メブリュト・チャブシオール外相は、ナチスを連想させるようなツイートを投稿した。「他国の歴史に泥を塗っても、自国の歴史の暗部を消し去れるわけではない」
トルコとドイツの関係は不安定な時期にある。EU(欧州連合)は今年3月に難民流入抑制策でトルコと合意した。欧州の難民をトルコが受け入れる代わり、トルコ人がビザなしでEU域内を旅行できるようにするというもの。EUはその強化を望み、トルコはこれがEU加盟への踏み台となることを期待している。
ドイツから大使を呼び戻すのは、よいスタートとは言い難い。ドイツはトルコの最大の貿易相手で、3月の難民合意のとりまとめを指揮したのもドイツだ。ワシントンの戦略国際問題研究所のトルコ責任者、ブレント・アルリザは取材に対し、先週の議決が両国の長期的関係にどう影響するか、まだ判断するのは早いと言う。