フェイスブックのAIエンジンで16億人が丸裸に
これらはまだ仮定の域を出ない。しかしフェイスブックのユーザーが気付かないうちに、圧倒的な可能性を備えたディープ・テキストがサービスに入り込んでくることになるだろう。
もちろんその過程では、弱点も見つかるはずだ。マイクロソフトが開発して、ネット上での会話を通して発達させようとしたAI「Tay」は、10代の若者という設定だったがヘイトスピーチを学んでしまった。
【参考記事】MITメディアラボ所長 伊藤穰一が考える「AI時代の仕事の未来」
フェイスブックがディープ・テキストを、まずはソーシャルメディア上で何かを売ったり、メッセンジャーでタクシーを呼んだりしたりするなど特定のシナリオで実験しているのは、これが理由だ。
ディープラーニングによる言語解析に取り組んでいるのはフェイスブックだけではない。しかし、彼らにはどっさりと蓄積してきたデータという強力な武器がある。何しろ世界で16億人のユーザーが毎日投稿したり、チャットをしたりしているのだ。
フェイスブックを使い続けるなら、いずれは自分自身よりもフェイスブックのほうが、あなたのことを理解するようになるかもしれない。それがいいか悪いかは別として。
© 2016, Slate
[2016年6月14日号掲載]