オバマ大統領の広島訪問に対する中国の反応
新華網:「来たよ、でも謝罪しない。それで満足なのかい?」
中国政府の通信社である新華社の電子版「新華網」は5月29日、オバマ大統領の広島訪問に関して「来たよ、でも謝罪はしないよ。日本はそれで満足なのかい?」という(趣旨の)見出しで報道した。
この報道でまず投げかけているのは、「オバマの任期末期における政治的パフォーマンスは、安倍が望んでいる"日本の侵略者としての犯罪性を薄めること"を叶えることができるのか?」という問いである。
そして韓国側の不満などを例にとって、「まるで自分が戦争の被害者の国であるように装い、日本が起こした侵略戦争の責任と他国に与えた損害から、目をそむけさせるためのパフォーマンスに過ぎない」と書き立てている。
5月27日に王毅外相が言った「広島は関心を寄せる価値はあるが、南京(事件)はもっと忘れてはならない。被害者には同情するが、しかし加害者は永遠に自分の責任から逃れることはできない」という言葉を、ここでもまたくり返している。
新華網は最後に、「オバマはこのたびの広島行きによって日米関係を強化し、それによってさらに一段と日本を丸め込んで、アジアのリバランスというアメリカの戦略のために働かせるつもりだ」で結んでいる。
哀しき国
なんという品格のなさだろうか。
なぜ中国と日本が、日米のようにできないのか、考えてみたことがあるのだろうか?
ひたすら日本を責めまくることに没頭し、日中国交正常化後に日本人が中国に対して注いだ誠意や厚意(そして金銭まで)を、すべて無にしてしまったのは誰なのか?
もちろん戦争をしたのは良くない。そのため少なからぬ日本軍関係者は戦犯として処刑され、日本は関係国から処罰を受けている。サンフランシスコ平和条約で戦後の講話条約も成立した。そのときに「中華民国」も「中華人民共和国」も締結国として署名できなかったのは、中国に原因がある。日本敗戦後、中国内において国民党と共産党の国共内戦が起きていたからであり、「中華民国」が国連に加盟していたからだ。おまけに1950年には北朝鮮の金日成(キム・イルソン)と当時のソ連のスターリンの陰謀があったとはいえ、中国は中国人民志願軍を北朝鮮に派兵して、アメリカと対峙した。だからアメリカの占領下にあった日本は、アメリカと共に中国と対峙せざるを得ないところに追い込まれていた。
戦後の国際関係のバランスを崩したのは、中国自身の国内事情があったからだ。