女子高生AI「りんな」より多才な人工知能が中国で生まれたワケ
<一周遅れだったはずの中国が、クラウドやビッグデータ、人工知能の開発でいつの間にか先頭ランナーに。マイクロソフト中国の女性型AI「シャオアイス」は、パーソナライズ化され、買い物の手伝い、動画の推薦までしてくれる>(写真は左が「りんな」、右が「小冰(シャオアイス)」のアイコン)
次々と新たな技術が開発される現代社会だが、近年特に熱い注目を集めているのが人工知能(AI)だ。今年3月にはグーグル旗下のディープマインド社が開発した囲碁プログラム「アルファ碁」がトップ棋士のイ・セドル九段を破り世界を驚かせた。
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人工知能の発展はもはや研究段階にとどまらず、私たち一般消費者が手に取る商品にも投入され始めている。アマゾンは昨年、パーソナルアシスタント「Alexa」を搭載したスピーカー「アマゾン・エコー」の一般販売を開始している。人間に話しかけるのと同様に普通に話しかけるだけで、天気を調べたりピザを注文したりと多くの機能を活用することができる。
グーグルは18日に開催された年次開発者会議「Google I/O 2016」で、人工知能ボット「グーグル・アシスタント」を発表。年内にも発売される「アマゾン・エコー」同様の音声アシスタントや、まもなくリリースされるチャットソフトで利用できる。またフェイスブックは4月に開催された開発者会議「F8」で、対話型の人工知能を埋め込む開発プラットフォームをリリースした。
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チャットボットで先行するマイクロソフト中国
チャット応答用の人工知能、いわゆるチャットボットの分野で先行するのがマイクロソフトだ。日本ではLINEとツイッターで会話できる女子高生AI「りんな」をリリースしており、3月には米国で、ツイッターで会話するAI「Tay」を発表した。なおTayはユーザーとの会話から学習した結果、人種差別や陰謀論の発言をするようになり、公開1日で閉鎖に追い込まれたとニュースになった。
実は、りんなとTayよりも先に、マイクロソフトが開発していたチャットボットがある。マイクロソフト中国の「小冰」(シャオアイス)だ。公開日は2014年5月30日と、すでに2年にわたり運用されている。ウェイボ(微博)やウィーチャット(微信)など9つものプラットフォームに対応しているほか、りんな、Tayにはない機能が搭載されている。
その一つがパーソナライズ化。電話番号を登録して「養子にする」と、ユーザーごとの会話傾向を学習し、個々人に会わせた回答をするようになる。また電話番号登録をすると、音声や動画を送っても回答してくれるようになる。
もう一つの特徴が、積極的な実用化を試みている点だ。ネットショッピングモールの京東商城では、シャオアイスが商品の評価を教えてくれる。動画配信サイトの優酷でもシャオアイスが導入されたが、チャットユーザーが気に入りそうな動画を推薦してくれる。最終的には、優酷のユーザー1人1人の好みに合わせた動画をシャオアイスが作成して配信することも計画。いわば人工知能のユーチューバーだ。