中国に出没する「ゾンビ肉」、摘発品には40年前のものも
関係者の1人は「(肉は)冷蔵スペースに戻されていなかったので、われわれがコンテナを開けた時は異臭を放っていた」と当時の様子を語った。
こうした肉の多くは、広西チワン族自治区の東興など、ベトナムと川で国境を接する町を通じ、中国本土に持ち込まれる。
ベトナム側では密輸肉は、北部の港湾都市ハイフォンなどから、中国との国境都市モンカイの保税倉庫にコンテナトラックで運ばれる。そこで小分けにされる時に「低温物流」が途切れるため、冷凍肉は解けることになる。
野生動物保護協会(WCS)のために広範な密輸を調査していたハノイ在住のスコット・ロバートソン氏によれば、そこからバイクで運ばれた肉は平底船に乗せられ、川の反対側で待つトラックに渡されるという。
サプライチェーン
中国では、肉は巨大な卸売市場に集められ、そこからスーパーや食肉加工施設、地方の市場に向けて運ばれる。
長沙の税関当局者らは、1年間に取り扱う80万トンの肉のうち、約3分の1が「出所不明」の中国以外から持ち込まれたものだとしている。
中国では過去数年、多数の乳幼児に被害が出た汚染粉ミルク事件が起きたほか、キツネ肉がロバ肉と偽装されるなど、食品スキャンダルが後を絶たず、業者や消費者の間に疑念が広がっている。
貴州省出身の学生タン・ミンさん(23)は、最近は値段が安い食品は避け、良く知られたブランドを選ぶようになっていると語る。
「今は生鮮市場では冷凍肉は買わないようにしている。いつからそこに置いてあったのか分からないから」
(原文:Adam Jourdan and Clare Baldwin、翻訳:宮井伸明、編集:伊藤典子)