最新記事

食の安全

中国に出没する「ゾンビ肉」、摘発品には40年前のものも

2015年7月16日(木)16時35分

関係者の1人は「(肉は)冷蔵スペースに戻されていなかったので、われわれがコンテナを開けた時は異臭を放っていた」と当時の様子を語った。

こうした肉の多くは、広西チワン族自治区の東興など、ベトナムと川で国境を接する町を通じ、中国本土に持ち込まれる。

ベトナム側では密輸肉は、北部の港湾都市ハイフォンなどから、中国との国境都市モンカイの保税倉庫にコンテナトラックで運ばれる。そこで小分けにされる時に「低温物流」が途切れるため、冷凍肉は解けることになる。

野生動物保護協会(WCS)のために広範な密輸を調査していたハノイ在住のスコット・ロバートソン氏によれば、そこからバイクで運ばれた肉は平底船に乗せられ、川の反対側で待つトラックに渡されるという。

サプライチェーン

中国では、肉は巨大な卸売市場に集められ、そこからスーパーや食肉加工施設、地方の市場に向けて運ばれる。

長沙の税関当局者らは、1年間に取り扱う80万トンの肉のうち、約3分の1が「出所不明」の中国以外から持ち込まれたものだとしている。

中国では過去数年、多数の乳幼児に被害が出た汚染粉ミルク事件が起きたほか、キツネ肉がロバ肉と偽装されるなど、食品スキャンダルが後を絶たず、業者や消費者の間に疑念が広がっている。

貴州省出身の学生タン・ミンさん(23)は、最近は値段が安い食品は避け、良く知られたブランドを選ぶようになっていると語る。

「今は生鮮市場では冷凍肉は買わないようにしている。いつからそこに置いてあったのか分からないから」

(原文:Adam Jourdan and Clare Baldwin、翻訳:宮井伸明、編集:伊藤典子)


120x28 Reuters.gif

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

イスラエル、イラン核施設への限定的攻撃をなお検討=

ワールド

米最高裁、ベネズエラ移民の強制送還に一時停止を命令

ビジネス

アングル:保護政策で生産力と競争力低下、ブラジル自

ワールド

焦点:アサド氏逃亡劇の内幕、現金や機密情報を秘密裏
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 2
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪肝に対する見方を変えてしまう新習慣とは
  • 3
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず出版すべき本である
  • 4
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はど…
  • 5
    トランプが「核保有国」北朝鮮に超音速爆撃機B1Bを展…
  • 6
    「2つの顔」を持つ白色矮星を新たに発見!磁場が作る…
  • 7
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 8
    ロシア軍高官の車を、ウクライナ自爆ドローンが急襲.…
  • 9
    ロシア軍が従来にない大規模攻撃を実施も、「精密爆…
  • 10
    ロシア軍、「大規模部隊による攻撃」に戦術転換...数…
  • 1
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 3
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 4
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 5
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 6
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 7
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 8
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 9
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 10
    「世界で最も嫌われている国」ランキングを発表...日…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 3
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 4
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 7
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 8
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
  • 9
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 10
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中