最新記事

日本外交

中国に逆らい日本を支持したフィリピンの思惑

2014年7月11日(金)12時32分
シャノン・ティエジー

 中国が領有権を主張する範囲(南シナ海のほぼ全域)を示した「九段線」について、フィリピンは国際仲裁裁判所に提訴しているが、中国は訴訟手続きをかたくなに拒んでいる。

 日本、フィリピン両国と中国との緊張が高まっているタイミングから、アキノと安倍の首脳会談は中国へのメッセージとみられている。アキノは広島での会議出席のために東京に1日しか滞在しなかったものの、両首脳の会談はこの1年で4度目だ。それぞれの領有権を守ろうとするうちに、日本とフィリピンは次第に緊密さを増してきた。装備が遅れているフィリピン沿岸警備隊に日本が巡視船10隻の供与を約束したのもその一例だ。

 一方中国は、日本とフィリピンというアメリカの同盟国同士の協力を「中国の台頭を封じ込める作戦の一部」とみている。中国外務省は安倍とアキノの共同声明に不快感を示した。華春瑩(ホア・チュンイン)報道官は日本の新たな安全保障政策について中国の「正当かつ合理的な懸念」を表明し、日本にこうした懸念に配慮するよう求めた。

 フィリピン政府に対しては、「関係国は故意に緊張を高め地域情勢に緊張と対立を招くような要素を増やすべきではなく、誠意を示して中国と同じ方向へ進むべきだ」と言った。

 言い換えれば、アジアの盟主である中国に逆らったり日本の味方をしたりすれば痛い目に遭うということらしい。

From thediplomat.com

[2014年7月 8日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

再送-トランプ関税、予想よりはるかに大きい インフ

ワールド

米、9日に中国に対する104%関税を発動―ホワイト

ビジネス

米景気懸念、大手金融機関の業績に影響か

ワールド

米ロ、10日にイスタンブールで2回目の協議=外交筋
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ関税大戦争
特集:トランプ関税大戦争
2025年4月15日号(4/ 8発売)

同盟国も敵対国もお構いなし。トランプ版「ガイアツ」は世界恐慌を招くのか

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    ひとりで海にいた犬...首輪に書かれた「ひと言」に世界が感動
  • 2
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 3
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    ロシア黒海艦隊をドローン襲撃...防空ミサイルを回避…
  • 6
    【クイズ】日本の輸出品で2番目に多いものは何?
  • 7
    5万年以上も前の人類最古の「物語の絵」...何が描か…
  • 8
    「最後の1杯」は何時までならOKか?...コーヒーと睡…
  • 9
    紅茶をこよなく愛するイギリス人の僕がティーバッグ…
  • 10
    「吐きそうになった...」高速列車で前席のカップルが…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中