中国に逆らい日本を支持したフィリピンの思惑
中国が領有権を主張する範囲(南シナ海のほぼ全域)を示した「九段線」について、フィリピンは国際仲裁裁判所に提訴しているが、中国は訴訟手続きをかたくなに拒んでいる。
日本、フィリピン両国と中国との緊張が高まっているタイミングから、アキノと安倍の首脳会談は中国へのメッセージとみられている。アキノは広島での会議出席のために東京に1日しか滞在しなかったものの、両首脳の会談はこの1年で4度目だ。それぞれの領有権を守ろうとするうちに、日本とフィリピンは次第に緊密さを増してきた。装備が遅れているフィリピン沿岸警備隊に日本が巡視船10隻の供与を約束したのもその一例だ。
一方中国は、日本とフィリピンというアメリカの同盟国同士の協力を「中国の台頭を封じ込める作戦の一部」とみている。中国外務省は安倍とアキノの共同声明に不快感を示した。華春瑩(ホア・チュンイン)報道官は日本の新たな安全保障政策について中国の「正当かつ合理的な懸念」を表明し、日本にこうした懸念に配慮するよう求めた。
フィリピン政府に対しては、「関係国は故意に緊張を高め地域情勢に緊張と対立を招くような要素を増やすべきではなく、誠意を示して中国と同じ方向へ進むべきだ」と言った。
言い換えれば、アジアの盟主である中国に逆らったり日本の味方をしたりすれば痛い目に遭うということらしい。
From thediplomat.com
[2014年7月 8日号掲載]