米景気懸念、大手金融機関の業績に影響か

ウェルズ・ファーゴのアナリスト、マイク・メイヨ氏は、今後数四半期における関税の影響として「景気後退の可能性が高まるにつれ、貸倒引当金が増える」と指摘した。(2025年 ロイター)
Tatiana Bautzer
[ニューヨーク 8日 ロイター] - 米金融大手が今週から順次、2025年第1・四半期(25年1-3月期)決算を発表する。今年は各行が貸倒引当金の大幅な積み増しを迫られるとみられる中、米政権による関税強化措置発表で市場が大幅下落したことを受けた経営幹部の経済情勢を巡る発言に注目が集まりそうだ。
ウェルズ・ファーゴのアナリスト、マイク・メイヨ氏は、今後数四半期における関税の影響として「景気後退の可能性が高まるにつれ、貸倒引当金が増える」と指摘した。
各行は今後数四半期にわたり、貸し倒れに備えて数十億ドルを積み立てるとみられる。
米金融大手JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は、世界的な貿易戦争によってインフレや景気後退(リセッション)などの悪影響が長期化する恐れがあるとの認識を示した。
アーガス・リサーチの金融機関担当ディレクター、スティーブン・ビガー氏は「銀行は経済を反映する。経済が悪化すれば、銀行の業績もそれに連動する」とし、貸倒引当金を積み増すほか、リスクの高まりに伴う融資の抑制も予想している。
バークレイズのアナリスト、ジェイソン・ゴールドバーグ氏は「資本市場の活動や企業の合併・買収(M&A)は通常、不安定な時期には停滞するため、投資銀行の手数料収入は低下が予想される」と言及した。
関税措置発表後の市場混乱の影響は現在も分析が続いている。株式での損失は資産運用部門にとっては重荷となる一方、取引業務は活発化して収益が拡大する可能性もある。