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迫害

ヒンドゥー右派がインドの自由を奪う

2014年3月19日(水)15時23分
ジェームズ・タッパー

 その後に同誌を去った元編集長のマニュ・ジョセフは自身の辞任理由については語りたがらない。ただ、この国では宗教団体がメディアや作家に圧力をかける風潮があることは認める。「ヒンドゥー教、イスラム教、キリスト教、ジャイナ教。すべて自分たちの宗教的感情を傷つける表現に抗議してきた」

 実際、世俗主義を掲げる国民会議派主導の現政権下でも、イスラム教とヒンドゥー教関連の本が数点発禁処分にされてきた。

 BJPが政権復帰を果たせば、歴史書き換えの動きが再び活発化するのは間違いない。98〜04年の前回のBJP政権下では、歴史教科書の改訂が進んだと、歴史家のウィリアム・ダルリンプルは言う。中世インドを「野蛮なイスラムの侵入者に破壊された楽園」とするような歴史教育が行われるようになったというのだ。

 ドニガーの本の発禁運動を率いた84歳の活動家ディナナス・バトラは、歴史教科書の改訂でも旗振り役を務めた。ヒンドゥーを冒涜する本はどんどん焚書にすると息巻く。「時代の流れはわれわれに味方している」

 表現の自由にとっては苦難の時代になりそうだ。

From GlobalPost.com特約

[2014年3月18日号掲載]

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