ニュース速報
ビジネス

ECBなど欧州当局、金融機関や債券市場の監視強化 流動性は維持

2025年04月08日(火)21時25分

複数の関係筋によると、欧州中央銀行(ECB)は、貿易戦争による世界的な株安を受けて、ユーロ圏の銀行や債券市場の監視を強めているが、現時点で警戒すべき理由は見つかっていない。フランクフルトの本部で昨年7月撮影(2025年 ロイター/Jana Rodenbusch/File Photo)

[フランクフルト 8日 ロイター] - 複数の関係筋によると、欧州中央銀行(ECB)は、貿易戦争による世界的な株安を受けて、ユーロ圏の銀行や債券市場の監視を強めているが、現時点で警戒すべき理由は見つかっていない。

株価急落が長期化すれば、実体経済へのダメージにつながりかねないため、監視を強化しているという。

通常よりも頻繁に監視対象行に連絡を取り、預金などの状態を確認しているが、これまでのところ心強いフィードバックを得ている。

また、ECBは国債スプレッドにも注目。一部でスプレッドの拡大が見られるものの、引き続き制御可能な状態にあるという。

ECBの報道官はコメントを控えた。

ECBのデギンドス副総裁は8日、スペインで講演し、市場は「短期的には常に過剰反応する」とし、分断された新たな世界での均衡点を見つける必要があると指摘。ボラティリティーが高いにもかかわらず、市場は流動性を維持していると述べた。

副総裁はまた、米国との貿易摩擦を乗り切る可能性について「比較的楽観的」と指摘。欧州は(軍事・経済的に)より自立する必要を認識したとし、欧州は「冷静に」米国と交渉する必要があると述べた。

関係筋2人は、いわゆる「影の銀行」として知られる貸し手の米国ファンドについて、監督が緩い一方で問題が発生すると従来型銀行システムに波及する可能性があるため、懸念材料だとの見方を示した。

別の関係筋は、資本市場での資金調達環境が悪化している兆候としてVIX指数に見られるボラティリティーの高まりを指摘した。

関係筋によると、英中央銀行(イングランド銀)はここ数日の急激な市場変動で流動性のひずみが生じていないか監視している。

スペイン銀行の監督官は同日、銀行の流動性問題は予想していないとの見方を示した。

スイスとフランスの規制当局も、市場の流動性が枯渇していないことを確認。スイスの当局者はロイターに対し、「ヘッジファンド、プライベートエクイティー、クレジットファンドなどの非銀行金融機関の動向を注視することが非常に重要」と述べた。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米関税政策は経済下押し、物価には上下両方向への影響

ワールド

ロシアが第二次大戦記念行事を宣伝に、ドイツが大使出

ビジネス

ECB金融政策の予測、AI活用で精度向上=DIW

ワールド

関税巡り日米初協議、トランプ氏も参加 為替議論せず
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 2
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気ではない」
  • 3
    【クイズ】世界で2番目に「話者の多い言語」は?
  • 4
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 5
    米経済への悪影響も大きい「トランプ関税」...なぜ、…
  • 6
    紅茶をこよなく愛するイギリス人の僕がティーバッグ…
  • 7
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 8
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 9
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 10
    あまりの近さにネット唖然...ハイイログマを「超至近…
  • 1
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 2
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 3
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止するための戦い...膨れ上がった「腐敗」の実態
  • 4
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 6
    「ただ愛する男性と一緒にいたいだけ!」77歳になっ…
  • 7
    コメ不足なのに「減反」をやめようとしない理由...政治…
  • 8
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 9
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 10
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 9
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中