春節もヤバい?北京を襲う渋滞パニック
大型連休の高速道路は狂乱状態。当局は自動車の増加を抑えるためナンバープレートの交付をくじ引きにしたが
車の海 世界の主要な20の経済都市を対象に行われた通勤事情調査で、北京は世界最悪の「通勤地獄」と評された David Gray-Reuters
中国では秋に、10月1日の国慶節(建国記念日)を含む連休「黄金週」がある。2012年は9月30日から10月7日まで8日間の大型連休となった。
中国人民が待ちかねた楽しい行楽シーズンになるはずだったが、現実には休暇を楽しむどころではなかった。北京などの大都市で史上最悪の道路渋滞が起きたからだ。史上空前のスピードで自動車が増えている中国の深刻な問題が浮き彫りになった格好だ。
中国国内では、大渋滞が起きたのは連休中の高速道路料金が無料化されたためだという批判が噴出。市民の交通費負担の軽減と、料金所の通過時間の短縮を図るための措置だったと、当局は説明している。
その結果、北京周辺は地方からの行楽客を乗せた大量の車の列で万里の長城が築かれたような状態に陥った。北京市交通委員会の推定では、連休中に北京市内を通行する車は1日155万台。昨年同時期の2倍以上だ。
中国メディアによると、渋滞に業を煮やして道路脇でテニスを始めた人もいたという。ようやく名所に到着しても、今度は歩行者の行列が延々と続いた。「人の頭以外、何も見えなかった」と、河南省から家族で故宮博物館を訪れた観光客の1人は政府系の英字紙チャイナ・デイリーに語った。
自動車メーカーは規制の緩い地方に活路
メディアやネット上では、連休中の高速道路無料化の是非をめぐり議論が巻き起こっているが、この問題の根はもっと深いところにある。
IBMは10年、世界を代表する20の経済都市を対象に初の通勤事情調査を行ったが、北京は世界最悪の「通勤地獄」という評価を受けた。11年の調査でも、深センと並んでワースト2位(最悪はメキシコシティ)。中国にとって、車の交通量管理は深刻な課題だ。
2012年2月の時点で北京市の車の登録台数は500万台。政府の担当者によれば、16年には600万台に増える見込みだ。
政府は人々の新車購買熱を抑え込むため、新規登録車に交付するナンバープレートにくじ引き制を導入。特に交通状態が深刻ないくつかの都市で、新規登録の割当台数を月2万台に制限する措置に乗り出した。
2011年初めに北京でこの制度が導入されてから、市内を走る新車の台数は半分以下に減ったが、同時に新たな問題も浮上した。
ナンバープレート取得の申請件数は、割当数を大幅に超えている。そのため北京市民は、いつか自家用車を持ちたいという夢が実現不可能になったと感じている。一方、多くの小規模ディーラーが倒産し、この1年半で約半数になったという推定もある。中古車を個人的に転売することもほぼ不可能になった。
ゼネラル・モーターズ(GM)のような外資の大手自動車メーカーや、吉利汽車などの国内メーカーは、ナンバープレート割当制が導入されていない地方の中小都市で販売攻勢をかけ、一定の成果を挙げている。この動きには減速する景気の押し上げ効果があるが、交通渋滞の問題を全国に広める事態も招いている。