スー・チーが語るビルマ改革の本気度
ビルマ民主化の闘士アウン・サン・スー・チーが語ったテイン・セイン大統領の可能性と改革の課題
民主化への道 「あらゆることを一度に実現することはできない」と語るアウン・サン・スー・チー Soe Zeya Tun-Reuters
ビルマ(ミャンマー)の民主化指導者アウン・サン・スー・チーが先ごろ、4月1日に行われる連邦議会下院補選への立候補を届け出た。一昨年秋にスー・チーが7年にわたる自宅軟禁を解除された後、ビルマではテイン・セイン大統領による改革の動きが進んでいる。現政権の改革の本気度や、自身が大統領になる可能性について、元本誌記者のラリー・ウェーマスが聞いた。
――アメリカではテイン・セイン大統領の改革が本物かどうか疑問視する声がある。
私は大統領が本心から改革を求めていると信じている。ただ軍部が大きな権力を持つことを認める現行憲法の下では、大統領は国のトップであっても、最高権力者であるとは限らない。
政権内部にも大統領を支持する勢力はいる。だが、それがすべてかどうかは分からない。
――アメリカは経済制裁を解除するべきか。
アメリカは明確に条件を示しており、ビルマ政府が制裁解除を求めるならその条件を満たす必要がある。その1つが政治犯釈放だ。先日、大統領は一部を解放したが、まだすべてではない。
――米政府はそれ以外にも......
(少数民族との)武力衝突が続く地域への人道援助を認めるよう求めている。いま最も深刻なのは(北部の)カチン州で新たに起きている衝突だ。少数民族の武装勢力と政府軍は停戦に合意したが、政治的交渉はまだ始まっていない。
――少数民族と政府の和解を仲介できると思うか。
双方が望めば。少数民族側は私にその役割を求めている。
――大統領とインタビューしたとき、あなたの入閣を考えているかと聞いたら、彼はそれは議会次第だと答えた。
そのとおり。もしわれわれ国民民主連盟(NLD)の候補者が、連邦議会の補欠選挙ですべて勝利して48議席確保したとしても、600議席以上ある上下院の中ではわずかにすぎない。あらゆることを一度に実現することはできない。議会の中で徐々にわれわれの活動を広げていく。
――ビルマは北朝鮮の協力で核兵器を開発しているという指摘がある。
その件は私にはよく分からない。北朝鮮と国交を回復したということだけは確かだ。