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アフガニスタンオマル殺害説にうごめく深謀遠慮
最高指導者死亡の報道でタリバンの内部に動揺が広がったが、実はアメリカもオマルを必要としている
謎だらけの男 オマルは01年、タリバン政権崩壊の際に山岳地帯へ脱出して以来、公の場に現れていない
アフガニスタンの情報当局が流した噂は、最初から眉唾ものだった。だが同時に、この話は大きな破壊力を秘めた宣伝工作でもあった。
アフガニスタンのテレビ局が匿名の国家保安局筋の話として、反政府勢力タリバンの最高指導者ムハマド・オマル師が射殺されたと報じると、このニュースはタリバン内部にも瞬く間に広まった。この「事件」はオマルがパキスタン側の国境の都市クエッタから、無法地帯と化している北ワジリスタンの新たな隠れ家に移動している最中に起きたとされる。
アメリカやNATO、欧米の外交筋がその死に懐疑的な見方を示すと、国家保安局はすぐにトーンを弱め、オマルはクエッタの隠れ家から「姿を消した」と言い換えた。
それでも効果的な宣伝工作が行われた場合、この手の偽情報は独り歩きを始めるものだ。謎の多い隻眼の指導者オマルは01年11月、タリバン政権が崩壊した際にオートバイで山岳地帯へ脱出して以来、公の場に姿を現していない。
タリバン内部の情報筋は、強硬派のゲリラ司令官やイスラム戦士にも動揺が広がっていると語る。タリバンのある情報工作員によると、このニュースを聞いた司令官たちは一斉に携帯電話で連絡を取り合い、オマルの確実な消息を知ろうとした。
それも無理はない。過去10年間、タリバンの内部でもオマルが生きているという証拠をつかんだ司令官やイスラム戦士はほとんどいない。一部の司令官は、オマルの肉声とされるカセットテープの音声を聞いたと主張しているが、具体的な物証や裏付けはないようだ。
そのため今回のオマル死亡説や行方不明説は、多くのタリバン兵が心の中で何年も抱いてきた疑念をさらに膨らませることになった。有力な前線司令官たちに近いタリバンの兵站担当者によると、彼らはオマルの声を聞きたいと切望している。
「(オマルは)なぜ肉声を届けてくれないのか、大きな謎だ」と、この兵站担当者はいぶかしむ。「誰もが声を聞きたくてたまらないのに」...本文続く
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■震災列島を覆う世界経済の津波に勝て(ビル・エモット)
他にも
■オマル殺害説にうごめく深謀遠慮
■IMFトップを捕らえた刑事の苦悩
■続編ブームが映画を滅ぼす? など
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[2011年6月 8日号掲載]