最新記事

がん治療

「代替療法で治る」に騙されてはいけない...科学的根拠ゼロの「がん治療体験」をセレブが広める問題

Treating Breast Cancer

2024年12月04日(水)17時35分
アリス・コリンズ

代替療法の人気の理由

つらい化学療法や外科手術抜きで癌を治療するという考えに魅力を感じる人が多いと、オリオーダンは考えている。「怖くてたまらず、生き延びるためなら何でもしたいという気持ちは理解できる。ほとんどの癌患者は確実性と希望を求めているが、医師は確実な返事などできない」

「エル・マクファーソンのようなセレブが自分の体験談を語れば、彼女が言うのだからきっと正しいんだと誰もが考える。皆が信じるのは、この手の(代替療法の)製品の巧みな販促マーケティングと、そうした製品にすがりたい患者の思いがあるからだ」


副作用に対処し、ストレスを緩和し、自分で努力している気分になるためにCAMを利用してもいいが、「自然」だから安全とは限らないと、米国立癌研究所(NCI)は警告。代替療法を試したければリスクや副作用や費用などについて担当医に質問し、保険が利くかどうか確認するべきだという。

「ルイスの癌が非常に速く進行したのは悲劇で、乳房を切除していたらどうなっていたかは知る由もない」とオリオーダンは言う。

「CAMで治らなかったという話はめったに聞かない。クリニックや医師たちのウェブサイトは輝かしい成功談だらけで失敗例には全く触れていない。これが現実だ。だからこのメッセージをだまされやすい患者たちに届けて、彼らが生死に関わる決断を下す前にCAMのメリットとデメリットの両方を理解できるようにすることが重要だ」

「選ぶのは患者だが、それは十分な情報に基づく決断でなくてはならない」


newsweekjp_20241204082835.png


 『The Complete Guide to Breast Cancer(乳がん完全ガイド)
 Trisha Greenhalgh, Liz O'Riordan[著]
 Vermilion[刊]
 

(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米ハドソン川にヘリ墜落、少なくとも5人死亡との報道

ビジネス

米財政赤字、3月は1610億ドルに縮小 関税歳入が

ビジネス

米シカゴ連銀総裁、政府の政策明確化まで金利据え置き

ワールド

トランプ氏、日鉄によるUSスチール買収の必要性に懐
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    「どちらが王妃?」...カミラ王妃の妹が「そっくり過…

  • 2

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 3

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 4

    「結婚に反対」だった?...カミラ夫人とエリザベス女…

  • 5

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 3

    「どちらが王妃?」...カミラ王妃の妹が「そっくり過…

  • 4

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 5

    アメリカ日本食ブームの立役者、ロッキー青木の財産…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 3

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 4

    「なぜ隠さなければならないのか?」...リリー=ロー…

  • 5

    「ポリコレ」ディズニーに猛反発...保守派が制作する…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:トランプ関税大戦争

特集:トランプ関税大戦争

2025年4月15日号(4/ 8発売)

同盟国も敵対国もお構いなし。トランプ版「ガイアツ」は世界恐慌を招くのか