最新記事

マタニティ

「母親の自覚が足りないッ!」...海外通販サイトで見つけたマタニティドレスに思わず私もツッコミを入れた

2023年07月04日(火)11時10分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
洋服

Liudmila Chernetska-iStock

<妊娠して気づいたのは、さまざまな場面で「母としての私」であることを迫られること。妊婦は「自分」でいては、いけないのか?>

少子化対策が叫ばれてはいるが、国が提示する政策や社会の未来に現実的な希望を持ちづらい。それでも子を持ちたいと願う者たちに優しい未来はあるのか...。

35歳、都会に生まれ育ち、仕事も軌道に乗っていた作家の小野美由紀さんは、妊娠出産を通じて、今までの自分には見えていなかった問題に気づきはじめる。新刊『わっしょい!妊婦』(CCCメディアハウス)より一部抜粋。

◇ ◇ ◇

性教育で教えてほしかったこと

高校生の頃に受けた性教育の授業では、女子生徒だけが講堂に集められ、出産シーンの収められたビデオを見せられてハイおしまいで、こんなこといっさい教えちゃくれなかった。

出産は産む女だけのものではなく、パートナーとの共同作業であることも、産んだら最後、その作業が永遠とも思える時間続くことも、あの時知れたらどんなによかっただろう。

知っていたらきっと、街ゆく妊婦への接し方も、妊娠した友人や仕事仲間への接し方も変わったことだろう。
  
少子化、少子化と騒がれ、若い世代に子どもを産め、産めというくせに、どうにも我が国では出産という現象はいまだに日常生活からは切り離されたブラックボックスで、まるでウサギを追いかけて運よく穴に落ちた人間だけが初めて全容を知らされる(そして、外の世界には決して共有されない)「不思議の国」のような扱いなのである。

母の、自覚......?

それでいてこの時期、私がもっとも納得がいかなかったのが、色んな場面で「母としての私」であることを迫られはじめたことだった。

ある時、妊娠前まで通っていたヨガ教室に素足にミュールで行ったところ、私の姿を見た先生は卒倒せんばかりの悲鳴を上げてこう叫んだ。

「んまぁっ! オノさん! 妊娠中なのに素足だなんて! 母親の自覚が足りないッ!」

真夏である。しかも、近所である。また、この先生は私が妊娠してからも以前と変わらず出張を続けていることについて「まあっ! 出張! 赤ちゃんがかわいそうじゃないっ!」と言った。

社会的価値創造
「子どもの体験格差」解消を目指して──SMBCグループが推進する、従来の金融ビジネスに留まらない取り組み「シャカカチ」とは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

輸出規制厳格化でも世界の技術協力続く=エヌビディア

ビジネス

ラトニック氏の金融会社がテザーと協議、新たな融資事

ビジネス

米、対中半導体規制強化へ 最大200社制限リストに

ワールド

ヒズボラ、テルアビブ近郊にロケット弾 ベイルート大
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    メーガン妃とヘンリー王子の「単独行動」が波紋を呼ぶ

  • 2

    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…

  • 3

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 4

    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…

  • 5

    超一流を育てるユダヤ人の家庭教育で受け継がれてき…

  • 1

    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…

  • 2

    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…

  • 3

    アジア系男性は「恋愛の序列の最下層」──リアルもオ…

  • 4

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 5

    キャサリン妃が「涙ぐむ姿」が話題に...今年初めて「…

  • 1

    「家族は見た目も、心も冷たい」と語る、ヘンリー王…

  • 2

    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…

  • 3

    カミラ王妃はなぜ、いきなり泣き出したのか?...「笑…

  • 4

    キャサリン妃が「大胆な質問」に爆笑する姿が話題に.…

  • 5

    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:超解説 トランプ2.0

特集:超解説 トランプ2.0

2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること