最新記事

BOOKS

「人間扱いされていない」80歳の新人女性作家が「怒れる高齢女性」を描く理由

Old Woman Power

2022年12月27日(火)11時16分
ヘザー・シュウィドル(スレート誌)
ジェーン・キャンベル

人間らしい高齢女性を描きたいと語るキャンベル(右はデビュー短編集の『猫のブラッシング』) PHOTO ILLUSTRATION BY SLATE. AUTHOR PHOTO BY IAN WILLIAMーSLATE

<「セックスの要素が抜け落ちている」イギリスの新人作家J・キャンベルは高齢女性のイメージを覆す作品を描く。年寄りの強みは誰かを気にする必要もなく、自由であることなのだから>

80歳のイギリス人作家ジェーン・キャンベルを「遅咲きの作家」と呼ぶ人もいるかもしれない。それでも、最後まで花開かない人に比べれば幸運と言うべきなのだろう。

この夏に出版されたデビュー短編集の『猫のブラッシング』も、さっそく批評家の間で好評を得ている。

80歳の新人作家としてデビューするのは、どのような経験なのか。なぜ、怒れるセクシーな高齢女性作家が必要とされているのか。スレート誌のヘザー・シュウィドルがキャンベルに話を聞いた。

◇ ◇ ◇


――これまでもずっと作品を書いていたのか。それとも最近になって書き始めたのか。

子供の頃から詩や小説の類いを書いていた。でも、真剣に執筆に取り組んだのは(短編集の表題作である)「猫のブラッシング」が初めて。77歳のときだった。

――「猫のブラッシング」を書いたときは、何かがひらめいたのか。

そのときは、バミューダ諸島にいる長男の家に滞在していた。ある日、息子も彼の妻も外出して、家に一人でいたとき、アイデアが浮かんできた。その後4日間、私は執筆に没頭した。そして書き上がった作品を見て、「素晴らしい」と思った。

――著作権エージェントからは、高齢の女性をテーマにした作品を書き続けるよう助言されたとのことだが、執筆に苦労したことはないか。

その助言は、私が高齢女性だからという面もあったと思う。私が書いてきた作品の多くは、怒りに基づいている。

(20世紀イギリスの作家)ドロシー・セイヤーズが「女性は人間か」という文章を書いている。女性も人間だと訴えることが目的だった。

私に言わせれば、高齢女性はとりわけ人間扱いされていない。その点では、おそらく高齢男性とも扱いが違う。高齢の女性も立派な人間だと、私は作品で強調しようとしてきた。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:またトランプ氏を過小評価、米世論調査の解

ワールド

アングル:南米の環境保護、アマゾンに集中 砂漠や草

ワールド

トランプ氏、FDA長官に外科医マカリー氏指名 過剰

ワールド

トランプ氏、安保副補佐官に元北朝鮮担当ウォン氏を起
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…

  • 2

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 3

    アジア系男性は「恋愛の序列の最下層」──リアルもオ…

  • 4

    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…

  • 5

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 1

    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…

  • 2

    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…

  • 3

    アジア系男性は「恋愛の序列の最下層」──リアルもオ…

  • 4

    キャサリン妃が「涙ぐむ姿」が話題に...今年初めて「…

  • 5

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 1

    「家族は見た目も、心も冷たい」と語る、ヘンリー王…

  • 2

    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…

  • 3

    カミラ王妃はなぜ、いきなり泣き出したのか?...「笑…

  • 4

    キャサリン妃が「大胆な質問」に爆笑する姿が話題に.…

  • 5

    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:超解説 トランプ2.0

特集:超解説 トランプ2.0

2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること