「人間扱いされていない」80歳の新人女性作家が「怒れる高齢女性」を描く理由
Old Woman Power
――80代の女性に対して「かわいいおばあちゃん」のイメージを持っている人が多いように思える。そうした社会の固定観念を覆したかったのか。
私が知る限り、高齢女性の典型的なイメージには、2つのパターンがある。
1つは、花柄のエプロンをしてキッチンに立っている優しいおばあちゃんのイメージ。もう1つは、偏屈だったり変わり者だったり、ぶっ飛んでいたりする女性のイメージ。
この両方に共通することがある。セックスの要素が抜け落ちていること、そして誰にも迷惑をかけないこと。このどちらのパターンにも当てはまらない、人間らしい高齢女性を描きたいと思っている。
――だからこそ、セックスや欲望というテーマを作品で描くことが重要だった?
(精神分析学の始祖である)フロイトは、人間には「生」への本能と「死」への本能があるという仮説を唱えた。「エロス」と「タナトス」だ。私が何かをエロチックだと言う場合も、セックスそのものではなく、生命力について述べている。
その点、人は誰でも、ほかの人と意思を通じ合ったり、つながったりすることにより、生きる力を獲得しようとする。
――高齢になって新しいことに挑戦したいと考えている人に、アドバイスを。
やってみなさい。それに尽きる。年寄りの強みはたぶん、誰かに行動の許可を求めなくなることなのだから。
『猫のブラッシング』
Jane Campbell[著]
Grove Press[刊]
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