最新記事

セルフ検査

子宮頸がんのセルフ検査、ロンドンで試験的に運用開始

2021年03月01日(月)17時00分
松丸さとみ

自分でできるこの検査法は大革命をもたらす...... North Central London Cancer Alliance

<イングランドの国民保健サービス(NHS、英国の国民健康保険制度)は、ロンドンで3万1000人強を対象に、自宅でできる子宮頸がんの検査を試験的に運用すると発表した......>

早期発見で早期治療への足掛かりに

子宮頸部細胞診(スメア)検査と呼ばれる子宮頸がんの検査は、恥ずかしい、忙しいなどで、なかなか定期検診を受けられないという人も少なくないだろう。特に最近では、新型コロナウイウルス感染症の流行により、医療機関から足が遠のいているという人もいるかもしれない。英ロンドンでも事情は同じようで、恥ずかしい、怖い、新型コロナが心配、といった理由で、検査を受けない女性が少なくないという。

そこで英イングランドの国民保健サービス(NHS、英国の国民健康保険制度)はこのほど、ロンドンで3万1000人強を対象に、自宅でできる子宮頸がんの検査を試験的に運用すると発表した。検査を手軽に受けられるようにすることで、がんの兆候を早期に発見する人数を増やし、子宮頸がんによる死者数の削減を目指す。

このセルフ検査は、ロンドン市内でも特に定期検診の受診率が低い地域に住んでいる人で、検診を受けるべきタイミングから1年3カ月経過している25〜64歳が主な対象になる。1万9000人には郵送し、1万2000人はかかりつけ医が手渡す。

99%の人が自分できちんと検体を採取

検査キットは巨大な綿棒のような形になっており、これを使って自分で検体を採取する。子宮頸がんの検査というと難しそうで自分でできるか不安になりそうだが、リサーチによると、99%の人が自分できちんと採取できたという。

採取した検体はNHSに直接郵送し、結果は郵送またはかかりつけ医経由で本人に知らされる。疑わしい結果が出た場合は、通常の子宮頸部細胞診検査(スメア検査)をかかりつけ医で改めて受けることになるという。

今回試験的に運用されるセルフ検査について、イングランドNHSは発表文で「スメア検査」という言葉を使っており、多くのメディアもスメア検査と報じている。しかし医師のニガット・アリフ氏は、英民放テレビ局ITVの朝の情報番組「ディス・モーニング」に出演した際、厳密に言うとスメア検査ではないと説明した。同医師が番組内で示した両方の検査を比べると、NHSが導入するセルフ検査は、簡易版といった感じだ。

とはいえ、検査はヒトパピローマウイルス(HPV)の有無を調べるものであるには変わりなく、早期にHPVを検知することで、治療に向けた取り組みが可能になる、と同医師は話している。

New At Home Test Could Revolutionise Smear Test Take Up | This Morning


子宮頸がんの99.8%は予防可能

子宮頸がんのセルフ検査がイングランドで導入されるのは、今回が初めてだ。子宮頸がんに関する慈善団体「ジョーの子宮頸がんトラスト」によると、デンマーク、オーストラリアなどではすでにこうしたセルフ検査が導入されている。また、英国でも自分でできる検査方法を求める声は非常に多いという。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、FDA長官に外科医マカリー氏指名 過剰

ワールド

トランプ氏、安保副補佐官に元北朝鮮担当ウォン氏を起

ワールド

トランプ氏、ウクライナ戦争終結へ特使検討、グレネル

ビジネス

米財務長官にベッセント氏、不透明感払拭で国債回復に
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…

  • 2

    アジア系男性は「恋愛の序列の最下層」──リアルもオ…

  • 3

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 4

    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…

  • 5

    24歳年上の富豪と結婚してメラニアが得たものと失っ…

  • 1

    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…

  • 2

    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…

  • 3

    キャサリン妃が「涙ぐむ姿」が話題に...今年初めて「…

  • 4

    アジア系男性は「恋愛の序列の最下層」──リアルもオ…

  • 5

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 1

    「家族は見た目も、心も冷たい」と語る、ヘンリー王…

  • 2

    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…

  • 3

    カミラ王妃はなぜ、いきなり泣き出したのか?...「笑…

  • 4

    キャサリン妃が「大胆な質問」に爆笑する姿が話題に.…

  • 5

    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:超解説 トランプ2.0

特集:超解説 トランプ2.0

2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること