新型コロナパンデミックの原因は「人類が森林を破壊したからだ」
Everyone Has an Impact
――「新型コロナウイルスの感染拡大は、人類が自然と動物を軽視した結果だ」と、最近あなたは言っている。具体的にはどういうことか。
人類が森林を破壊し続けてきたために、さまざまな種の動物が密になって生きざるを得なくなり、異なる種の動物の間でウイルスが広がりやすくなった。(森林破壊により)人間と動物が近い場所で生きることも増えた。それにより、ウイルスが人間にも広がりやすくなってしまった。
今回のような感染症の危険はずっと前から指摘されていたのに、人間は警告に耳を傾けなかった。SARS(重症急性呼吸器症候群)の経験から全く学んでいない。
――新型コロナウイルスの経験を経て、人類は何を学ぶべきだと思うか。
今回の問題でせめてもの朗報は、多くの人が初めてきれいな空気を吸ったことだと思う。一部の大企業が事業を停止したことで、インドのムンバイや中国の北京のような都市でも空気がきれいになった。
これまでのやり方を改めるよう、企業や政府に求める大きなうねりが起きてほしい。ただし、企業が失った収益を埋め合わせようとして、以前にも増して猛烈に事業活動を推進し始める心配もある。
この問題はとても難しい。経済活動が止まったことで職を失い、苦しんでいる人が大勢いる。バランスを取りつつ、新しいやり方を見いだしていく必要がある。
――これまでの活動を通じてのちに残したいメッセージを1つ挙げるとすれば?
一番覚えておいてほしいのは、私たち一人一人が毎日、地球に影響を及ぼしているということ。ものを買うときには、倫理的な選択をしてほしい。その商品はどのように作られたのか。環境に害を及ぼしていないか。動物に残酷ではないか。子供を奴隷のように働かせていないか。
一人一人の姿勢が問われている。あなたには果たすべき役割がある。あなたは自分の行動で世界を変えることができる。
2020年6月16日号(6月9日発売)は「米中新冷戦2020」特集。新型コロナと香港問題で我慢の限界を超え、デカップリングへ向かう米中の危うい未来。PLUS パックンがマジメに超解説「黒人暴行死抗議デモの裏事情」
[2020年6月 9日号掲載]