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赤肉好きが歓喜した「好きなだけ食べてもいい」説は本当か!?

The Red Meat War

2019年10月31日(木)18時10分
シャノン・パラス

Pilin_Petunyia-iStock

<「赤肉は体に悪い」説を覆す分析結果をめぐって大論争が勃発。迷える消費者が取るべき賢い行動とは>

レッドミート(赤肉)と呼ばれる牛肉、豚肉、羊肉などは健康のため控えたほうがいい── それがこれまでの食の常識だった。ところが、ここにきて「好きなだけ食べてもいい」説が浮上。メディアが派手に取り上げる一方で、これまで赤肉や加工肉の大量摂取は心臓病などのリスクを高めると警告してきた専門家が批判の声を上げ、大論争が巻き起こっている。

10月1日、カナダのダルハウジー大学など数カ国の大学の共同研究チームが、赤肉の健康に及ぼす影響に関する既存の膨大な論文を集めて、その内容を検証、一連のメタ分析を発表した。

赤肉の摂取を控えること(アメリカ人は週3回減らすよう推奨されている)に何らかの健康上のメリットがあるとしても、ごくわずかにすぎない──チームはそう結論付けた。これはニューヨーク・タイムズ紙が「驚くべき大転換」と呼んだ見解だ。

実はこの転換はさほど「驚くべき」ものではない。新しいエビデンス(証拠)に基づく主張ではないからだ。むしろエビデンスをどう解釈するかの違いであり、新研究が浮き彫りにしたのは、栄養と食事のアドバイスに付き物の限界だ。

新論文の執筆者の大半は、栄養学の専門家ではない。疫学調査の方法論の研究者や、医学の中でも別分野の専門家が、栄養学の疫学調査の問題点を探った。昨年12月、共同研究チームの一部メンバーが医学研究の方法論の専門サイトに自分たちのメタ分析研究の手法を発表した。これが騒ぎの発端だ。

彼らに言わせれば、一般的な医学上のアドバイスと比較すると、栄養と食事のアドバイスは 極めていいかげんだ。観察研究に「過度の信頼」を置き、赤肉を大量に食べている人とそうでない人を厳密な手法で比較対照するのではなく、どんな食生活をしているか本人に聞いて健康状態を比べるなど、正確さに疑問のある手法を採っているからだという。

リスクがゼロでないなら

彼らが提案するのは、食品の健康リスクに関する疫学調査にも、医薬品の試験と同じ基準を適用すること。厳密な科学的根拠があれば、医師は自信を持って個々の患者に助言できる。

彼らの推奨する基準で現行のガイドラインを検証し直せば、赤肉に限らず、さまざまな食品についてこれまでの見解が覆される可能性がある。そのたびに私たちは「食べるべきか、控えるべきか」と、頭を悩ますことになりそうだ。

赤肉の健康リスクを指摘してきた研究者は、彼らの主張に猛反発している。その筆頭がハーバード大学公衆衛生学大学院の研究者たちで、「悪影響」の広がりを防ごうと公式サイトに反論を掲載した。同大学院の栄養学科長フランク・フー教授は目下、メディアの取材に精力的に応じている。本誌にも独自の解釈を語った。「彼らの分析の一部はむしろ、赤肉の過剰摂取が体に悪いことを裏付けている」

例えば共同研究チームがメタ分析を行った既存の論文の1つでは、赤肉の摂取を週3回減らせば、癌で死ぬ人が1000人に7人の割合で減る可能性がある、という結果が出ていた。チームは、この程度では赤肉を控えるメリットがあるとは言えず、集団単位で見てもほぼ皆無だと結論付けている。

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