ヒマラヤ少数民族が育むお宝ワイン! 中国随一の「アオユン」とは
A Unique High Mountain Terroir
2019年05月08日(水)18時40分
試行錯誤を恐れぬ人々
畑があるのは雲南省の阿東村、西盪村、司農村、説日村で、いずれも標高2200メートル以上の高地に位置する。この土地の文化も、ほかにはない別格な味わいを育むのに欠かせない。
「世界一の気候と土壌に恵まれていても、栽培と醸造に通じた人材に恵まれなければワインは造れない」と、ドゥルーは言う。「畑で働くチベット族は、ブドウのことを本当によく分かっている。ほかの少数民族も大勢働いている。中国で最も多い漢族はもちろん、ナシ族やブイ族もいて、彼らはそれぞれ少しずつ違う。うちのワイナリーは文化のるつぼだ」
ブドウの栽培から収穫、瓶詰めまで120世帯ほどがアオユンの生産に関わる。地形と土壌と環境と気候を知り尽くしているという意味で、生産の鍵を握るのはこの人たちだ。
ボルドーの銘醸地ソーテルヌに生まれ、20年近くワイン造りに携わってきたドゥルーいわく、アオユンの洗練された個性は作り手のそれを映している。
「民族ごとに文化は違うが、彼らはみんなクリエーティブで進取の気性に富んでいる。私にとっては、それが何より大事。うちのワイン造りには試行錯誤が付き物だが、彼らは変化を恐れない。日々学びながら最適な方法を探りつつ、ワインの質の向上を目指している」
[2019年2月26日号掲載]