最新記事

飲料

コーヒー飲んだら運動、それともベッドイン?

香りだけでストレスを和らげ集中力や記憶力を高めるカフェインの底力

2014年10月8日(水)17時04分
エミリー・タムキン

ほっと一息 実験でコーヒーのリラックス効果も再確認された Hybrid Images/Getty Images

 コーヒーブレイク中のあなた、その1杯を飲み終わったら何をする? 
ニューヨーク誌の記者ケビン・ルースは朝のコーヒーを楽しんだ後、ジョギングに出掛ける。コーヒーを飲むと「長い距離を走れるし、エネルギーが湧く」という。

 そう感じるのはルースだけではない。米健康雑誌ヘルスに掲載された研究によれば、運動前の1杯は血行の改善、痛みの緩和、記憶力の増強、筋肉の維持と強化に効果がある。さらにシェイプ誌は、運動前のコーヒーは頭をシャキっとさせ、脂肪の燃焼にも役立つと主張している。

 なるほど、そうと決まればジムへGO!──と言いたいところだが、実は昼寝をするのもいいようだ。

 カフェインはアデノシンという脳内の化学物質の働きを妨害する。アデノシンは起きている間に蓄積され、十分にたまると眠気を促し、睡眠中に分解される。コーヒーは約20分でアデノシンを分解するから、コーヒーを飲んだ後で15分ほど仮眠を取れば頭がスッキリするらしい。

 ある研究で、寝不足の被験者に運転シミュレーターを操作させてみた。すると「コーヒー付き昼寝」をした被験者は、冷たい空気に当たった人、休憩した人、コーヒー抜きで昼寝した人、コーヒーを飲んで昼寝をしなかった人に比べ、運転技能が格段にアップしたという。

 コーヒーブレイク後に試すと効果がありそうなものはほかにもある。

■セックス(相手もその気の場合に限る) 11年の研究で、カフェインを摂取した雌のラットは眠たい雌のラットより交尾に積極的なことが分かった。カフェインには、女性をエッチな気分にさせる効果があるらしい。

■芸術 『毎日の儀式──芸術家の働き方』という本を出したライターのメーソン・カリーによれば、コーヒーは「集中力と注意力を高め、眠気を払い、アイデアが湧く頻度を向上させる」。ベートーベン、マルセル・プルースト、グレン・グールド、フランシス・ベーコン、ジャンポール・サルトル、グスタフ・マーラーなど、多くの芸術家が創造性アップのためにコーヒーをガブ飲みしたという。

■試験 学術誌の栄養ジャーナルは07年、カフェイン飲料には注意力と記憶力を高める効果があるとの研究結果を掲載した。また08年のジャーナル・オブ・アグリカルチュラル・アンド・フード・ケミストリー誌によれば、コーヒーの香りを嗅いだだけでも(少なくともラットの場合は)ストレスが減るという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

豊田織機の非公開化報道、トヨタ「一部出資含め様々な

ビジネス

中国への融資終了に具体的措置を、米財務長官がアジア

ビジネス

ベッセント長官、日韓との生産的な貿易協議を歓迎 米

ワールド

アングル:バングラ繊維産業、国内リサイクル能力向上
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 7
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 8
    ロケット弾直撃で次々に爆発、ロシア軍ヘリ4機が「破…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中