ティーパーティーのアブナイ外交政策
インディアナ州の候補者集会では、現職の民主党議員が科学的証拠を引用しながら「温暖化は人為的なものだ」と主張するとブーイングを食らった。「そんなのは真っ赤な嘘だ」と、電気工でティーパーティーの活動家でもあるノーマン・デニソンはニューヨーク・タイムズに語っている。「私は聖書を読んだ。神はこの地球を活用すべきものとして作ったのだ」。デニソンが現代的な「典拠」として挙げたのは、保守派の人気司会者ラッシュ・リンボーだった。
「建国の父」を一人も言えない
共和党の上院議員候補のほとんどが、ディック・チェイニー前副大統領の10年前の主張――「人間に非はない」――を支持している。こうした信念のせいでティーパーティーは彼らが言うところの「主流メディア」と対立している。
カンザス州の集会を取材した記者たちは「温暖化」や「アル・ゴア(元副大統領)」という言葉を持ち出すなと警告された。ジャーナリストがジャーナリストらしく振る舞うと、ティーパーティーが猛攻撃を仕掛けてくるからだ。移民政策も地雷の1つ。ティーパーティーの中でも特に過激な人々は、移民排斥主義を掲げた19世紀の政党「ノウナッシング党」に言及する。
ワシントンにいる外国人特派員らは、ティーパーティー政治家の戦術は彼らが信奉するアメリカの価値観と真っ向からぶつかることがある、と皮肉たっぷりに指摘する。
英フィナンシャル・タイムズ紙のエドワード・ルースは、世界最大の民主主義国でありながら国内に宗教的・経済的分断を抱えるインドから、アメリカに赴任してきた人物。彼は最近の記事で、ジャーナリストのトニー・ホップフィンガーが、ティーパーティーに支持される上院議員候補ジョー・ミラーにアラスカ州で会ったときのことについて書いている。
ホップフィンガーが質問をしようと近付くと、ミラーが雇った警備員がホップフィンガーに手錠をかけたという。ティーパーティー候補たちは友好的なジャーナリスト以外はすべて避けることで、外交に関する無知を隠しているとルースは指摘する。
それでも無知を隠せないのガ悲しいところ。保守系トーク番組の司会者グレン・ベックの手ぬるいインタビューを受けながら、ペイリンは自分がしょっちゅう言及する「アメリカ建国の父たち」を1人も思い出せなかった。
もちろん彼らに一夜漬けの知識があったとしても、世界で唯一の超大国に危険な航海をしっかりと導いていってほしい、と思っている世界の国々にとっては慰めにもならないが。
フィナンシャル・タイムズのルースの記事には、デラウェア州から上院議員を目指すクリスティン・オドネルのことも書かれている。彼女が言う「パキスタンについての計画」について、FOXニュースに尋ねられた時のことだ。
オドネルはパキスタンを中東と呼び、陸軍参謀長を兼任していた最後の軍事独裁者パルベズ・ムシャラフ前大統領を称えた。民主主義国アメリカが奨励すべき模範的人物だ、と。
(GlobalPost.com特約)