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天文学者が肉眼で見たオーロラは失望の連続、カメラに映る光の饗宴はまぼろしなのか

My Northern Lights Letdow

2024年10月30日(水)19時38分
エリック・ホルサウス(気象学者、環境ジャーナリスト)

私が多重露光なしで撮影したオーロラは、予想どおり大したことがなかった。これがフィンランドなら、もっとすごいのだろうか? 緑っぽい色以外の色が肉眼でも見える可能性はあるが、それでもカメラで捕捉可能な色と比べれば、彩度は劣るだろう。

あの地平線上にかすかに見える薄灰色の染みは、地球の方向へ秒速数百キロで噴き出された太陽のかけらが地球の大気圏に飛び込み、大学院レベルの物理学の概念を伴う仕組みによって光を放出する結果だ──そう理解するのは、知的な意味で興味深い。


だが同時に、イモムシや毛虫がチョウになり、自宅の安物の望遠鏡で木星に渦巻く雲を見られるのもすごいことだ。この世界は驚異と魅惑に満ちている。自然界で愛する現象を、好きに楽しめばいい。

夜空の染みを愛しているなら、それでも結構。だがこれは特殊な興味の対象で、誰もが生きているうちに見るべき何かではない。ほかの人々の美しい画像を羨むことなく、あまり大したことはなかったと偉そうな感想を持っても、いいではないか。

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