最新記事

未来予測

2030~2040年には、犬・猫との双方向の会話が実現する【未来予報図01】

2022年3月8日(火)11時05分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
犬と猫

kozorog-iStock.

<現在すでにIoTやディープラーニングにより、ペットの気持ちが理解できるようになっている。このテクノロジーは今後どう発展し、未来のビジネスはどう変わっていくのか>

テクノロジーに関心のある人なら、パワースーツ(アシストスーツ、パワーアシストスーツとも)について、少しは聞いたことがあるかもしれない。医療や介護、物流などの現場で身体を補助してくれる最新テクノロジーだ。

だが、日本に限っても、イノフィス、CYBERDYNE、ATOUN(あとうん)といった複数の企業がパワースーツを開発し、すでにビジネスを展開していることまで知っているだろうか。また、これからパワースーツがどう発展し、どのようなビジネスに活用されていくのかについても。

テクノロジーは驚くべきスピードで「進化」している。今も世界中の企業が、SFを思わせるような未来のテクノロジーを開発している。そうしたテクノロジーによって未来のビジネスがどう変わっていくかは、実はある程度「予測」できる。

JAXA(宇宙航空研究開発機構)で人工衛星の開発に携わっていた齊田興哉氏は、宇宙ビジネスに関する専門家としてNHKやABEMA Prime、毎日放送などに出演。多方面の最新テクノロジーに精通しており、テクノロジーの発展と、それによって起こるビジネスモデルの変化を知り、仕事やキャリアに生かしてほしいと話す。

ここでは、齊田氏の新刊『ビジネスモデルの未来予報図51』(CCCメディアハウス)から3回にわたって抜粋する。パワースーツから臓器チップ、空飛ぶタクシー、見たい夢を見る装置まで、51の最新テクノロジーとそれらの「ビジネスの未来予報」を分かりやすく解説した1冊だ。

抜粋の第1回は、ペットと会話できるテクノロジーについて。

※第2回:世界を変えるテクノロジー、「台風の制御」実現は遠い未来ではない【未来予報図02】
※第3回:開発が進む最新軍事テクノロジー「昆虫サイボーグ」【未来予報図03】

◇ ◇ ◇

気持ちを知るには、IoTセンサーとディープラーニング

2021年現在、ペットと会話とまではいかないが、気持ちを把握することは可能になってきた。これは、膨大なデータから人工知能AIを用いた機械学習やディープラーニングを使い、ペットの感情の特徴を抽出することで実現している。

カナダのSyvlester.aiは、アプリ「Tably」を発売している。使い方は簡単で、スマホにアプリをダウンロードし、ペット(猫)を撮影するだけ。ペットの画像の上に感情を示すイラストが表示され、現在の気持ちを把握できる。

気持ちの把握には、コンピュータービジョン(人の視覚でできるタスクを自動化し、コンピューターが視覚世界を理解できるようにする技術のこと)と、Feline Grimace Scale(機械学習で使われるアルゴリズムで、モントリオール大学附属動物病院で開発された。①耳の位置、②目の開き具合、③鼻先から口元の緊張度、④ヒゲの位置、⑤頭の位置の5つで、猫の痛みを把握できる)という指標を使う。痛みの症状があるペットと、ないペットの画像を比較すると、この指標に違いがあるのだという。

このアプリは猫用で、「重度の皮膚アレルギーを持っている猫の回復を把握できた」「老衰していく猫に鎮痛剤を投与できた」「関節の炎症に気付けた」など評価が高い。アプリを活用することで、獣医と連携して遠隔医療ができるメリットもある。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日産、武漢工場の生産25年度中にも終了 中国事業の

ビジネス

豊田織機の非公開化報道、トヨタ「一部出資含め様々な

ビジネス

中国への融資終了に具体的措置を、米財務長官がアジア

ビジネス

ベッセント長官、日韓との生産的な貿易協議を歓迎 米
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 7
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 8
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 9
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 10
    ロケット弾直撃で次々に爆発、ロシア軍ヘリ4機が「破…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中