最新記事

未来予測

2030~2040年には、犬・猫との双方向の会話が実現する【未来予報図01】

2022年3月8日(火)11時05分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

日本電気(NEC)は、PLUS CYCLE(IoTセンサーが搭載された首輪)と、人工知能AIを使って、ペットの気持ちの把握を実現している。加速度センサーや気圧センサーなどが備え付けられた首輪でペットの行動を測定し、その行動からAIを活用してペットの気持ちを分析する。

その分析結果は、LINEのメッセージで届く。ペットから、「ねむねむ...」や「起きた~」などのメッセージが届く、ユニークなプロダクトだ。

日本のベンチャーAnicallは、ペットの首に装着したセンサーとアプリで、さまざまな状態を把握することができる。餌の食いつき状況や咀嚼の把握、温度や湿度管理、運動量の管理などが可能だ。

ビジネスの未来予報:ペット市場にとどまらず、動物園へ拡大

現在はペット(犬や猫)が対象のサービスだが、今後対象となる動物は多様に拡張されていく可能性が考えられる。そうなれば、ペット市場にとどまらず、動物園市場へと拡大していくはずだ。

動物園にいる動物は、哺乳類などの高等動物ばかりではないが、飼育員のなかには、担当している動物との信頼関係をもっと築きたい、コミュニケーションを取りたいと考えている人もいることだろう。

動物に小型で軽量化されたIoTセンサーを取り付け、24時間365日映像でモニターする。ディープラーニングと動物の表情に特化した指標を活用して、リアルタイムで動物の健康状態や感情を把握する、そんな未来が予測できる。

このテクノロジー、プロダクトを持つ企業は、動物園に毎日(もしくは定期的に)このサービスを利用してもらうことで、収益を得る構造だ。

現在は、動物の気持ちを分析し理解することでヒトが対応する単方向のコミュニケーションだが、双方向はなかなか難しいだろう。

一方で、現在すでに、画像からAIでペットの気持ちを分析しているので、映像からAIでリアルタイムに分析できるようになるには、他事例を考えると、それほど時間はかからない。

未来学者ウィリアム・ハイアムは「10年以内には犬と話すことができるデバイスが実現するだろう」と語っている。犬や猫などのペットとの会話は、2030~2040年に実現することになる。

さらに、犬や猫以外のさまざまな動物との会話が実現するまでには、映像からディープラーニングと動物の表情に特化した指標が整備されるのに20年から30年以上の年月がかかるとすれば、実現は2040年~2050年以降になると考えるのが妥当だろう。

futurebook20220308-1-chart.png

『ビジネスモデルの未来予報図51』101ページより


ビジネスモデルの未来予報図51
 齊田興哉 著
 CCCメディアハウス

(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエルのソマリランド国家承認、アフリカ・アラブ

ワールド

ミャンマーで総選挙投票開始、国軍系政党の勝利濃厚 

ワールド

米、中国の米企業制裁「強く反対」、台湾への圧力停止

ワールド

中国外相、タイ・カンボジア外相と会談へ 停戦合意を
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 3
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌や電池の検査、石油探索、セキュリティゲートなど応用範囲は広大
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 6
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 7
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 8
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 9
    【クイズ】世界で最も1人当たりの「ワイン消費量」が…
  • 10
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中