2030~2040年には、犬・猫との双方向の会話が実現する【未来予報図01】
日本電気(NEC)は、PLUS CYCLE(IoTセンサーが搭載された首輪)と、人工知能AIを使って、ペットの気持ちの把握を実現している。加速度センサーや気圧センサーなどが備え付けられた首輪でペットの行動を測定し、その行動からAIを活用してペットの気持ちを分析する。
その分析結果は、LINEのメッセージで届く。ペットから、「ねむねむ...」や「起きた~」などのメッセージが届く、ユニークなプロダクトだ。
日本のベンチャーAnicallは、ペットの首に装着したセンサーとアプリで、さまざまな状態を把握することができる。餌の食いつき状況や咀嚼の把握、温度や湿度管理、運動量の管理などが可能だ。
ビジネスの未来予報:ペット市場にとどまらず、動物園へ拡大
現在はペット(犬や猫)が対象のサービスだが、今後対象となる動物は多様に拡張されていく可能性が考えられる。そうなれば、ペット市場にとどまらず、動物園市場へと拡大していくはずだ。
動物園にいる動物は、哺乳類などの高等動物ばかりではないが、飼育員のなかには、担当している動物との信頼関係をもっと築きたい、コミュニケーションを取りたいと考えている人もいることだろう。
動物に小型で軽量化されたIoTセンサーを取り付け、24時間365日映像でモニターする。ディープラーニングと動物の表情に特化した指標を活用して、リアルタイムで動物の健康状態や感情を把握する、そんな未来が予測できる。
このテクノロジー、プロダクトを持つ企業は、動物園に毎日(もしくは定期的に)このサービスを利用してもらうことで、収益を得る構造だ。
現在は、動物の気持ちを分析し理解することでヒトが対応する単方向のコミュニケーションだが、双方向はなかなか難しいだろう。
一方で、現在すでに、画像からAIでペットの気持ちを分析しているので、映像からAIでリアルタイムに分析できるようになるには、他事例を考えると、それほど時間はかからない。
未来学者ウィリアム・ハイアムは「10年以内には犬と話すことができるデバイスが実現するだろう」と語っている。犬や猫などのペットとの会話は、2030~2040年に実現することになる。
さらに、犬や猫以外のさまざまな動物との会話が実現するまでには、映像からディープラーニングと動物の表情に特化した指標が整備されるのに20年から30年以上の年月がかかるとすれば、実現は2040年~2050年以降になると考えるのが妥当だろう。
『ビジネスモデルの未来予報図51』
齊田興哉 著
CCCメディアハウス
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