あの『アルマゲドン』で滅亡を避けられる!? 『コンテイジョン』だけじゃない「予言の映画」11選
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<小惑星衝突からパンデミック、老化、最終核戦争まで、映画を活用して科学の面白さを伝えるイギリス人の2人組がいる。彼らによれば、小惑星に核爆弾を仕掛ける『アルマゲドン』方式も、決して荒唐無稽ではない>
新型コロナウイルスが話題になり始めた昨年初め頃から、ぜひ観るようにと勧める声があちこちで聞かれるようになった映画がある。パンデミックの脅威を描いた『コンテイジョン』(2011年、スティーブン・ソダーバーグ監督)だ。
この映画が話題になったのは、描写のリアルさと科学的正確さが際立っているためだけではない。観る者を物語世界へと引き込み、ストーリーを追体験させ、現実の自分の身に置き換えて考えさせるという、映画の持つ強烈な力を、皆が知っているからだろう。
映画の持つこの力をフル活用して、科学の面白さを伝えるイギリス人の2人組がいる。ジャーナリストでテレビ番組の司会者も務めるリック・エドワーズと、量子物理学の博士号をもつサイエンスライターのマイケル・ブルックスだ。
2人のポッドキャスト番組「Science(ish)」では、毎回人気映画が1本選ばれて、背景となる科学や面白ネタが縦横無尽に語られる。これが大きな反響を呼んで、書籍『すごく科学的――SF映画で最新科学がわかる本』(筆者訳、草思社)として結実した。
その第2弾が『ハリウッド映画に学ぶ「死」の科学』(筆者訳、草思社)。「死」と関連する11本の映画と科学が深掘りされている。
『ハリウッド映画に学ぶ「死」の科学』の最初のテーマはまさに「ウイルスによるパンデミック」であり、取り上げられた映画は本稿冒頭の『コンテイジョン』だ。だが、新型コロナへの便乗などではない。原書の出版は2019年10月と、新型コロナ発生の直前なのだから。
本書の販促のために、2人してウイルスをばらまいたわけでもない(たぶん)。では、もしや予言の書なのか?
そういえば、続く第2章のテーマは「小惑星の地球衝突」なのだが、確かに2020年11月に小惑星がかつてないほど地球に接近していた!(参考記事)
ちなみに、この章で取り上げている映画『アルマゲドン』(1998年、マイケル・ベイ監督)は、石油掘削工を宇宙船で小惑星に送り込み核爆弾を仕掛けさせるというかなりトンデモな内容だ。
ところが本書によれば、数ある衝突回避策の中から人工知能が最善策として選んだのは、核爆弾を小惑星内部に仕掛けるというこの『アルマゲドン』方式だというのだから、ハリウッド映画もなかなかたいしたものだ。
本書が予言の書かといえば、実際のところは、「一番現実的に起こりそうだから」パンデミックや小惑星というテーマが選ばれたようだ。だが、著者たちに科学的センスと先見性があることは明らかだろう。