あの『アルマゲドン』で滅亡を避けられる!? 『コンテイジョン』だけじゃない「予言の映画」11選
第1章では、「ウイルスとは何か」「なぜ現代社会では新型ウイルスが発生・蔓延しやすいのか」、そのほか突然変異・免疫系・ワクチンについてバランスよく説明されている。
コロナ禍により、多くの人は否応なくウイルスや伝染病について詳しくなっただろう。この章を読めば、最近になって知った専門的知見がいかに分かりやすく的確にまとめられているかを実感できるはずだ。
映画や科学の面白ネタ、歴史的な経緯や最新の研究成果がふんだんに盛り込まれ、イギリス人らしいウィットにあふれる会話やコラムが息抜きとなって、読む者を飽きさせない。
『ジョーズ』『ターミネーター』から『エルム街の悪夢』まで
さて、予言者ではないにしろ、先見性に優れた2人が選んだ残りのテーマが気になるのではないだろうか。駆け足となるが紹介しよう。
第3章は「捕食動物」。捕食と進化の深い関係、さまざまな捕食動物からの逃げ方など。ここで取り上げられる映画は『ジョーズ』(1975年、スティーヴン・スピルバーグ監督)、動物パニック映画の金字塔だ。
第4章は「人工知能」。ロボットの自我の芽生えと、自我の有無によらず危険であることについて。映画は、人工知能が支配する未来世界を背景とする『ターミネーター』(1984年、ジェームズ・キャメロン監督)。
第5章は「不妊」で、精子数の大幅減少や環境ホルモンの問題、人工子宮の実験、幹細胞からの精子や卵子の作製について。ここでは、人類が生殖能力を失った近未来の描写がリアルな『トゥモロー・ワールド』(2006年、アルフォンソ・キュアロン監督)を取り上げている。
第6章は「気候変動」。異常気象の脅威と気候コントロールの可能性など。映画は『ジオストーム』(2017年、ディーン・デヴリン監督)。衛星での気象制御と同時多発的異常気象が描かれた作品だ。
第7章は「不眠と悪夢」。夢を操る技術を身につける方法などにも触れている。映画はなんと、殺人鬼が夢の中で人々を襲う『エルム街の悪夢』(1984年、ウェス・クレイヴン監督)。
お次は「植物」だ。この世界の覇者であり私たちをコントロールしている植物の、知性・コミュニケーション能力・学習能力について。題材となる映画は、50年以上前の作品。植物が人間を襲い世界を支配する『人類SOS! トリフィドの日』(1962年、スティーヴ・セクリー監督)だ。
第9章は「老化」。老化とは何か、血液や糞便を使う抗加齢技術、そして老化に追いつかれない方法について。映画は『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(2008年、デイヴィッド・フィンチャー監督)で、年老いた姿で生まれ、若返っていく男の生涯が描かれる。