「若い血を輸血して老化を防止」事業者に聞いた「効果ある?」
――8000ドルは安くない。顧客は相応の効果を感じたいのでは?
彼らは効果を実感している。複数の顧客が何回も治療を受けている。
――あなたは医学の学位を持っているが、どうしてこのビジネスに?
卒業以来ずっと老化研究の分野で働いている。卒業前からこれが自分のやりたいことだと思っていた。それで会社を立ち上げた。老化研究には詳しかったし、医師だから治験実施計画書を書いて承認を得ることが可能だったので実現することができた。
――この治療法に目を付けたきっかけは?
動物での研究が大きかった。私が医学部を卒業する数年前から、この研究は再び関心を集めていた。
――「人間なら何千ドルも払うぞ!」と期待した?
料金を抑えたいが、既に採算ぎりぎりでやっている。大して儲かってない。臨床試験にカネがかかる。
――ご両親は血漿輸血のアイディアに賛成しているのか。
もちろん。私を誇りに思っている。
――あなた自身は35歳未満だが、血漿輸血を受けたことは?
まだだ。受けられる年齢になるのが楽しみだ。当社の薬事関係の部署と相談して35歳以上が妥当だと決めた。
――健康で長生きする方法への異常な執着は、資本主義と金の使い方について何を示唆していると思うか。
すごくいい質問だ。こうした現状は人々の優先順位を反映している。私たちは健康を重視していて、健康への投資は見返りが大きいのだと思う。だからみんな健康管理に大金をつぎ込む。
――うまく言えないが......健康長寿のための治療でできることに限界はあると思うか。
言いたいことは分かる。不死は可能かということなら、私は不死を信じていない。多くの医学的理由で不死は不可能だ。それでも、少しずつ不死に近づくことは可能かもしれない。健康管理に金をかけるほど効果が上がり、生物学的には限界を広げ続けることができる。それには新たな医学的方法を考案し続けなければならないと思う。
――健康へのリスクはあるか。
もちろん。アメリカでは1年間に何百万回も輸血が行われている。厳密には輸血用血液は血液製剤だから、原料の血液が適正に選別されているかどうかに気を付ける必要がある。だがそれさえ注意すれば、最も安全な部類の治療法だ。それが当社の血漿輸血が承認されている一因でもある。輸血は十分研究されていて、非常に安全だ。
――それでも何かリスクは?
理論上は感染症のリスクがある。当社は血液バンクではない──当社が血液を集めているわけじゃない。だが血液バンクは血液を選別して感染症を予防している。感染症のリスクがあるので規制は厳しく、アメリカの輸血用血液は世界でも特に安全とされている。