介護サービスの質向上のための「マジ神AI」 ベネッセ流の介護DX
機械化や自動化が困難だった介護業界でのDX導入を実現
これまで介護業界は、AIやテクノロジー活用によってサービスの質を高めながら現場の負担軽減が期待される一方で、DX化には高い壁があるとされていた。なぜなら、介護業務には、一人ひとり異なる身体状態やニーズに対応するための高度なスキルや知識、経験が求められるため、一律的な機械化や自動化が難しいからだ。
そうした課題に対し、ベネッセスタイルケアでは一足飛びにDX化を行うのではなく、段階を経た推進を進めてきた。まず人材の育成や環境づくりのメソッド開発からスタートし、日々スタッフが追われていた紙の記録業務のデジタル化や、独自の業務支援システムを開発。その後、次のステップとして「マジ神」を組み合わせることを着想し、その開発へと進めていった。
「開発の裏にあったのは、『マジ神』の知見や能力を本人だけにとどめるのではなく、そのノウハウをより多くのケア現場に拡げながら、より多くのご入居者様のQOL向上に寄与したいという強い思いです。現場の省力化や合理化のためのテクノロジー活用ではない、ご高齢者のその方らしさにスタッフを導くためのソリューションとして開発を進めた結果、一歩ずつの進化と強い思いの追求が、他にはないAIソリューションの実現へと至りました」と、祝田氏は語る。
2023年11月の時点で、全介護付きホーム261拠点(介護付有料老人ホーム)に「マジ神AI」の導入を完了し、2024年度には89拠点の全住宅型有料老人ホームへの導入拡大を目指しているという。
日本は超高齢化社会の進行と、少子化による労働力の減少が同時に発生している状況だが、高齢化に対応するためには、介護職員の人材不足解決が不可欠だ。そうした中で、AIによって高度な技術を必要とする介護人材育成を支援するプログラムは、日本の介護問題の解決の一助となることが期待できるだろう。
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