世界遺産・屋久島の自然を守れ ! sankara hotel&spa 屋久島の「サンカラ基金」がオーバーツーリズムに対処する
近自然工法を用いた登山道整備について学ぶ講習会の様子
<観光客の増加による自然破壊を防ぐため、自然と共に活きるツーリズムを目指す>
世界を変えるには、ニュースになるような大規模なプロジェクトや製品だけでは不十分。日本企業のたとえ小さなSDGsであっても、それが広く伝われば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。この考えのもと、ニューズウィーク日本版はこの春、「SDGsアワード」を立ち上げました。その一環として、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。
世界遺産へのオーバーツーリズムが世界的な問題となっているが、日本の世界遺産である屋久島も例外ではない。そうしたなか、屋久島への貢献を経営理念とするオーベルジュ型リゾートホテル「sankara hotel&spa 屋久島」は、独自に設立した基金を活用した屋久島の自然保護活動で注目を浴びている。
「近自然工法」を学んで損傷した屋久島の登山道を整備
近年、登山ブームを背景に山に入る人が増えている。一方、それに伴う登山道の崩壊が全国的に問題となっている。世界自然遺産の屋久島も例外ではなく、ここ数年の大雨の影響もあり、損傷した登山道が目立つようになった。
そこで屋久島では、環境省と地元ガイドの尽力で2021年3月、「大雪山山守隊(やまもりたい)」の岡崎哲三氏を招き、「近自然工法」という手法を用いた登山道整備を観光客と共に学ぶ講習会が開かれた。
近自然工法は、従来の土木工事のような修復ではなく、その土地の自然の仕組みを学び、周辺にあるものを用いて、その自然環境に合わせた修復方法で施工するもの。近自然工法で修復された屋久島の登山道は、今も雨に流されることなく、登山者の歩行を支えている。
この施工方法に感銘を受けた屋久島のガイド達は、更なる施工技術向上を目的に、環境省の補助金を活用して2021年10月に2回目の講習会を開催。さらに、2022年11月、3回目の講習会が開催されたが、その資金には、sankara hotel&spa 屋久島の「サンカラ基金」が活用された。
sankara hotel&spa 屋久島のアクティビティマネージャー大木氏は、「3回目の講習会では、ホテルトレッキングコースの整備の際に当ホテルのスタッフがのべ20名以上参加し、施工を学びました。2023年も屋久島のガイドの皆さんと連携を密にして年間計画や予算などを確認し合い、施工作業にも参加しています」と話す。