障がいを持つ芸術家たちに、作品発表の場を...三井不動産ホテルマネジメントの企画展が持つ力
ロビーを「パラアート」の展示会場にした三井ガーデンホテル銀座プレミア(2023年5月)
<「パラアート」に触れる場を多くの人々に提供するのと同時に、パラアーティストの自立や創作活動の持続可能性を支援する>
世界を変えるには、ニュースになるような大規模なプロジェクトや製品だけでは不十分。日本企業のたとえ小さなSDGsであっても、それが広く伝われば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。この考えのもと、ニューズウィーク日本版はこの春、「SDGsアワード」を立ち上げました。その一環として、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。
日本全国で数十軒のホテルを運営する株式会社三井不動産ホテルマネジメントは、自社の資産であり強みである全国的なネットワークをいかし、まだ日本では認知度の低い「パラアート」を支援する取り組みを実施。多くの人々がこうした作品に接する機会を創出すべく、自社のホテルを使った企画展を各地で開催している。
パラアートに触れる機会を提供し、パラアーティストの自立を支援
障がいのある人の手によって制作された芸術作品「パラアート」は、その芸術的価値の高さや、パラアーティストへの理解を深め、共生社会の実現に貢献するものとして、昨今注目を集めている。だが、日本では作品発表や鑑賞の機会はまだまだ少なく、海外に比べて認知度が低いのが現状だ。
そうした実態を社会的な課題と考えた株式会社三井不動産ホテルマネジメントは、2021年からパラアートの展示・販売を行う企画展を開始した。自社が運営するホテルのロビーを会場とし、宿泊者に限らず、誰もが無料で自由に入場することができるイベントとなっている。
「全国にホテルを展開する当社の強みを活かして、日本各地で活躍するパラアーティストの才能を地域資源として発掘・発信し、『パラアートに触れる機会』を提供しようと考えました」と、この企画展を実施する同社サスティナビリティ推進室 村田理史氏は語る。
展示作品の販売代金はすべて作者に還元しており、パラアーティストの自立や創作活動の持続可能性を支援することにも繋がっている。
2021年の三井ガーデンホテル銀座プレミアでの第1回展以来、全国各地で開催されており、2022年の来場者数は4会場で2万2,000人に達するなど、着実に認知度と人気を伸ばしている状況だ。2023年度中には、累計実施回数が10回になる見込みとなっている。