障がいを持つ芸術家たちに、作品発表の場を...三井不動産ホテルマネジメントの企画展が持つ力
全国的なネットワークを活かし、地方の作家も活躍できる場に
パラアーティストの多くは、普段はホテルと接点のない福祉施設や団体に所属している。そのため、当初は作品の募集や作家の発掘が課題だったという。そこで、障がい者施設支援を行う一般社団法人「グループハッピースマイル」に協力を依頼。グループハッピースマイルを介して作品を募集することで、現在では多くの福祉施設や作家、作品とのネットワークを構築できている。
さらに2023年からは、地方に住む作家の発掘や作家との関係構築にも注力している。金沢展では、金沢市でアート活動を支援する団体「金沢アート工房」の協力を得て、金沢市が発信するパラアーティストを多く起用した。こうした取り組みを地方に広げていけるのは、全国約40カ所のホテルネットワークを持つ同社だからこそと言えるだろう。
また、昨今急増する海外からの来訪者も視野に入れ、展示物を日英の2言語で表記したり、特設ページは4言語で掲載するなど販売を海外ゲストにも拡大すべくシステムの改善を進めるなどしている。村田氏はその狙いについて、「多様性を認め合う優しい社会の実現に取り組む日本の姿を世界へ広く発信していきたい」と話す。
実際、今年9月には「多様性を重んじる日本の姿」を世界へ発信してきた取り組みが認められ、ツーリズムの発展・拡大に貢献した国内外の組織や企業の持続可能で優れた取組を表彰するジャパンツーリズムアワードで入賞を果たした。
2025年には10会場で10万人来場を目指しており、さらなる発展が期待できる。日本国内でのパラアートの認知度向上や、多様性の理解を促進していく取り組みとなるだろう。