外国語を話すとなぜパニック発作がおさまるのか?...「母語以外でクヨクヨできない」

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<下手な学校英語ですら、はっきりと効果が現れる理由について...>
成人したあとは脳は一生変わらないとかつては考えられていたが、死ぬまで変わり続けることが現在はわかっている。これを「脳の可塑性(かそせい)」といい、わたしたちは死ぬまで変えることができる。
心の元気を取り戻し、再び気持ちを晴れやかにする「ベルンハルト・メソッド」の第2弾『落ち込みやすいあなたへ 「うつ」も「燃え尽き症候群」も自分で断ち切れる』(CEメディアハウス)より「第6章 落ち込みをすばやく克服する5つの変奏曲」を一部編集・抜粋。
外国語のトリック
声に出そうと頭の中だけであろうと、ネガティブな独り言は精神的なトラブルのきっかけとしてきわめてよくあるものといえます。
多くのセラピストが患者さんと協力して少しずつ改善しようと努力していますが、その際これらの独り言が主に母語でなされているという事実にはほとんど注意が払われていません。
しかし、抑うつ的で不安な、または強迫的な考えが通常ひとつの言語でのみ形成されるとするなら、言語を替えれば思いがけない治療につながる可能性があります。わたしたちは誰でも母語以外の言語でくよくよするのは得意ではありません。
特に興味深いのは、意識的に言語を切り替えたところ、その言語で考えて夢を見始めるまで数週間しかかからなかった人もいたことです。一方、通常のセラピーでは、自動的に浮かんでくるネガティブな考えがいちおう止むまでに数カ月または数年かかります。
患者さんたちの報告に触発されて、わたしはいろいろな検査を行いました。目的は、外国語のトリックをセラピーの手法として使えるかどうかを調べることでした。
まず、多くの患者さんに、頻繁に繰り返されるネガティブな考えに注意して、それが浮かんだらできるだけ早く英語や他の外国語に切り替えるように頼みました。