セラピストとAIどっちが良い? チャットGPTに悩みを相談する人が急増中...メリットと意外な「落とし穴」
The Chatbot Will See You Now
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チャットボットやアプリはセラピーの垣根を低くしてメンタルヘルスの世界を変えつつあるが、人間との「ハイブリッド方式」が中心で「完全AI化」のハードルは高い PAULA/ADOBE STOCK
<AIには人目を気にせず「なんでも話せる」かもしれないが、専門家は人々が『セラピスト・ショッピング』に陥る危険性に注目している──>
AI(人工知能)ツールのチャットGPTをセラピーに活用する人が増え、人々の心の悩みとの向き合い方が変わりつつある。
TikTok(ティックトック)などのソーシャルメディアには、実際にお悩み相談をやってみせ、AIカウンセラーの活用方法をシェアする動画があふれている。発信者の多くは「使ってみて驚いた」と感想を語る。AIチャットボットは洞察力に富み、共感性が高いように見えるからだ。
チャットボットは24時間いつでも相談できる、使い勝手もコスト効率も良いカウンセラーのようだが、気になる点もある。個人情報の保護もその1つ。回答が的外れな場合もあるし、ユーザーがAIに依存しすぎるリスクもある。
AIは近い将来、人間のセラピストに取って代わる能力を秘めているのか。
米オレゴン大学コンピューター情報科学部のダニエル・ロウド教授は、自分に合ったセラピストが見つからない場合は、チャットボットが役に立つと話す。
「60年前に(初期の)チャットボットのイライザが開発されて以来、人々はAIとの対話に慰めを見いだしてきた。悩みの解消には日記をつける、体を動かす、祈る、信頼できる友人に話す、セルフヘルプ本を読むといった方法があるが、これらは良いセラピストの代わりにはならない」と、ロウドは言う。
「一方、良いセラピストはなかなか見つからない。予約待ちが長かったり、料金が高かったり、同じセラピストでも相性が合う合わないは人それぞれだ。だからチャットGPTや(チャットボットの)クロードに話すことで、少しでも心が安らぐなら、素晴らしいと思う」