「臓器を摘出」する予防法も...がんは「治す」から「防ぐ」時代に、新たな医療アプローチ「VBC」とは?
AN OUNCE OF PREVENTION
テキサス州ベイタウンもこの取り組みの対象エリアだ。ここには、全米で3番目に大きい製油所であるエクソンモービルのベイタウン製油所がある。
ピスターズによると、製油所近辺の住民はある種の癌のリスクが高い可能性があり、エクソンモービルはMDアンダーソンの協力を得て、新鮮な農産物を住民に配ったり、ウオーキングクラブを設立するなどの取り組みを進めている。
MSKも地元ニューヨークで同様の活動を行っている。「移民の健康と癌格差」プログラムでは、巡回型の保健チームが市内各地に赴き、医療保険制度について説明し、健康面の不安などの相談に乗っている。
このプログラムでは、例えばニューヨークのタクシー運転手向けに保健サービスと健康診断や癌検診を無料で提供している。タクシー運転手はずっと座って仕事をし、しばしば食生活も健康的とはいえず、大気汚染が深刻な場所で長時間過ごす。これらの要素は、癌と循環器疾患のリスクを高めることが分かっている。
MSKの乳腺腫瘍科医ニール・アイエンガーは「生活習慣の最適化」の重要性を説く。具体的には、好ましい食生活と運動により、肥満度の判定基準であるBMI(体格指数)を27未満に抑え、体内時計に合った良質な睡眠を取り、過度の日焼けを防ぎ、喫煙とアルコールの摂取を避けよ、というのだ。
これらを実践できていれば、「その人は大多数の(癌の)リスクが軽減されていると見なせる」とのことだ。