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リーダーシップ

睡眠不足の上司は部下に当たり散らし、心を落ち着かせている...「仕事と睡眠」の驚きの関係

2024年12月26日(木)06時40分
若杉忠弘(グロービス経営大学院教授)

個人差はあるでしょうが、1つの目安として7時間という基準が示されています。

その理由は、睡眠時間が7時間を定期的に下回ると、肥満、糖尿病、高血圧、心臓病、脳卒中、うつ病、死亡リスクの増加、免疫力の低下などにつながるからです。

さらに、7時間未満の睡眠はパフォーマンスの低下、ミスの増加、事故リスクの増加とも関連していました。

こうした悪影響のリストをみると、ゾッとしますね。いかに睡眠が健康にとって大切かが、改めて確認できます。厚生労働省の調査によれば、睡眠時間が7時間に達していない人の割合は、日本人のなんと、半分以上にのぼります。ですから、みなさんがこの7時間のラインを下回っていたとしても何ら不思議ではありません。

睡眠不足は蔓延しているのです。

睡眠不足は人間関係にも悪影響を及ぼす

リーダーに心に留めていただきたいポイントは、睡眠不足は、メンバーとの人間関係にひびを入れるということです。

ワシントン大学の研究グループは、88人のチームリーダーとそのメンバーを2週間にわたって調査しました。

ここで驚くべきことがわかります。リーダーがよく眠れないと、その翌日、メンバーに当たり散らしていたのです。メンバーに意地悪な態度や、敵対的な態度をとりやすく、威圧的で攻撃的な行動をとる頻度が増えていました。

なぜ、こんなことになってしまったのでしょうか。この研究によれば、よく眠れなかったリーダーは、気力が十分でないために、メンバーに配慮するような言動がとれなくなっていたのです。

リーダーの睡眠不足の代償を、メンバーが払っていたのです。

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