62歳の医師が「ラーメンのスープを最後まで飲み干す」理由 塩分の摂り過ぎより高齢者が注意すべきことは?
ラーメンスープを飲み干しても、塩分の摂りすぎにはならない
私は、ラーメン店に足を運んだときは、基本的に「ラーメンスープ」を飲みきっています。先日も、若い知人とラーメンランチをともにした際、私がいつものようにスープを飲み干すと、「先生、医者の不養生ですよ。最後まで飲んでいいんですか」と"注意"されました。
私が「あなたは飲みたくないの?」と問い返すと、「そりゃ、飲みたいですけど......。でも、塩分の摂りすぎになりませんか」と、訊きかれました。
「なりませんよ」――私はそう答えました。
その理由は、専門的にいえば、「高齢になると、腎臓が塩分を貯留する能力が落ちるため、むしろ塩分不足、低ナトリウム血症のほうが心配だから」ということになります。同症は、血液中のナトリウム濃度が不足する症状で、悪くすると、意識障害や痙攣を引き起こします。
そもそも、今は、どのラーメン店でも、塩分や化学調味料の使用を控えています。また、ラーメンスープには、さまざまな食材のエキスが溶け込んでいます。それを飲まないのは、栄養面からみて、むしろもったいないことなのです。
そもそも、私は、「本当は飲み干したいのに、『我慢』する」という考え方こそ、「不健康」だと思います。塩分の害以上に、「我慢の害」が健康寿命を縮めることが多いからです。
不必要な我慢をすると、ナチュラルキラー細胞の活性が落ち、免疫力が低下して、ガンをはじめとする大病を招くリスクが高まります。
そもそも、「○○を食べたい」という欲求は、体が「タンパク質不足」や「脂質不足」など、何らかの「不足」を察知したことによって生じていることが多いのです。そのため、食べたいものを我慢すると、その「不足」を助長し、健康長寿を阻害しかねません。
和田秀樹(わだ・ひでき)
1960年、大阪市生まれ。精神科医。東京大学医学部卒。ルネクリニック東京院院長、一橋大学経済学部・東京医科歯科大学非常勤講師。2022年3月発売の『80歳の壁』が2022年トーハン・日販年間総合ベストセラー1位に。メルマガ 和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」
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