62歳の医師が「ラーメンのスープを最後まで飲み干す」理由 塩分の摂り過ぎより高齢者が注意すべきことは?
バラエティに富んだ「弁当生活」を
しかし、現実には、今どきの市販の弁当は、かなり優秀な食品です。競合店ひしめき合うなか、添加物を控えめにし、衛生状態にも気を配っています。3食のうち1度くらい食べても何ら問題はありません。
むろん、買うたびに、幕の内弁当を食べる必要はなく、「今日は豚肉のしょうが焼き弁当、明日は焼き魚弁当」と、バラエティに富んだ「弁当生活」を心がけるといいでしょう。それが、30品目を達成し、バランスよく栄養を摂ることにつながります。
ときには、若者用の「がっつり系」の弁当にも手をのばしてみてください。量が多ければ、2回に分けたり、夫婦2人でシェアして食べればいいのです。
そのようにして、和風、中華、洋風、いろいろな料理を楽しむことが、適切な栄養補給につながります。それは、「外食」する際も、同様です。今日、刺身定食を食べたら、次回は焼き肉、その次はラーメンというように、いろいろなメニューを楽しんでください。
メニューに変化をつけると、しぜん足を運ぶ店が変わることにもなります。そうした「小さな変化」は、脳にとってもいい刺激になるのです。
「味の濃い系」のラーメン店がつぶれない理由
私が「単品の食事は避けたほうがいい」と申し上げても、それでも「カップ麵は便利で、そこそこおいしい。ときどきは食べたい」という人もいるでしょう。
実際、高齢者には、「依存症」になったかのように、カップ麵を常食している人がいるものです。カップ麵は依存症を招きやすい食品です。その理由は「味が濃い」からです。
私は、根っからのラーメン党で、40年以上、いろいろなラーメン店を食べ歩いてきましたが、私の見るところ、「味の濃い系」のラーメン店は、まずつぶれません。味が濃いと、そのラーメンに依存する人、要するに「常連」が増えるからです。
一方、あっさり系のラーメン店は、かなりおいしい店でも、その味のように、あっさりつぶれることがあります。その理由は、依存症者(=常連)が増えにくいからだと、私は見ています。
カップ麵に話を戻すと、今は、各メーカーが添加物量などに留意しているので、毎食、カップ麵を食べていても、それで「命に関わる」ことはありません。
他の食品も含めて、加工食品に多少の発ガン性があるといっても、それは100万人に1人発症するかどうかの確率です。
とはいえ、むろん「毎食、カップ麵」という食生活をおすすめするわけにはいきません。カップ麵を常食すると、摂取する食材の種類が減り、栄養バランスが偏るからです。そうした単品型の食生活は、心身の老化を早めます。
また、同じものばかりを食べていると、「慢性型の食品アレルギー」になるリスクも高くなります。
というような理由から、単品型の食生活は避けたほうがいいのですが、「それでも、カップ麵を食べたい」という人には、自分で「具材」をトッピングすることをおすすめします。
今は、スーパーに行くと、煮玉子やメンマ、焼き豚など、ラーメン用の具材がいろいろと並んでいます。それらをカップ麵にトッピングするのです。そうして、食材の種類を増やせば、高齢者が陥りがちな「単品の害」をある程度防ぐことができます。