「心配しても無意味」だけど、心配がやめられない人に最適のメソッド
「どのように」と「どこへ」を問うふたつの選択肢があります。自分の考え方に向き合うとき、どちらの方がより効果的かどうかは、ご自身で考えてみてくださいね。
また、「~について心配するのはやめよう」という考え方とは異なり、「どのように」「どこへ」という問いかけを利用している点にも気づいてください。
このふたつはソクラテス式問答法(メソッド)で使われる問いで、法律や認知療法の基礎でもあります。他にも、「いつ」「何を」という問い方もあります。
ただし、私は「なぜ」という問いは使いません。認知療法には役立たないと考えるからです。「なぜ」という問いは脳に別の命令を送りますが、その命令は問題解決につながることがほとんどありません。
ソクラテスが「導かれた発見」と呼ぶこのプロセスは、認知療法では次のように定義されています。
患者がどのように情報を処理しているのかを、セラピストが探るときに利用するプロセス。問いに答えたり、思考の過程を振り返ったりする中で、患者は新しい考え方をより多く持てるようになる。
「この心配は、私/あなたにとってどのように役立っているのか?」と脳に尋ねると、その答えは自然と「役立っていない」になります。脳は問いかけに答えてくれます。
このとき、心配する気持ちは抑圧されるべきではありません。その気持ちに、問いを投げかけるのが良いでしょう。心配する気持ちを真っ向から否定しない点が重要です。
心配の遅延
こちらの方法は、「心配の遅延」に関する研究から生まれました。研究者の中には次のような提案をする人もいます(ぜひ試してみてください)。
毎晩、たとえば6時から、最低でも30分間以上、心配するための時間を設けます。椅子に座って誰にも邪魔されずに心配をする時間です。電話や動画、会話は禁止で、とにかく心配だけをします(なんて幸せな時間でしょう!)。
心配事のすべてをノートに書き出してください。そして仕事中に、あるプロジェクトについて心配し始めたら、自分にこう言い聞かせてください。
「今はダメだ。家に帰ってから心配しよう」
この方法の基本となるのは、脳が次のようなメッセージを受け取る流れです。
「心配してもいい。でも、もう少し後まで我慢しよう」
その後、何日かするといくつかの現象に気づくでしょう。第一に、心配するという行為に飽きてきます。何となくイライラして、早くこの心配するための時間が終わらないかな、と思い始めます。