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美容整形

顔の「お直し」で人は本当に幸せになれるのか?

Plump Lips and Wellness

2022年8月19日(金)14時41分
エレノア・カミンス

多様な体を見せる意義

美の基準を押し付けて人々の幸福感を損ない、それを美容で回復させる悪循環は、1人が自信を持てば別の誰かが自信を失う状況を生む。

今は美容外科や顧客に直接商品を売るD2C型美容企業のウェブサイトで、簡単にアンチエイジングに手が届く時代。

「自分は合格ラインだと自信を持つには、より多くの努力と出費が必要になる」と、ウィドウズは書く。「その結果、正常とされる範囲は狭まり、異常の範囲が広がる」

世間に整形でふっくらさせた唇が増えれば、「正常」なはずの自分の唇がにわかに冴えなく思えるのだ。理想の美には誰も到達できない。だが整形を受けるにしても拒否するにしても、理想の美は私たちを縛る。

これは力を合わせることでしか解決できない問題だと、政治哲学者のクレア・チェンバーズは『無傷/無修正の体を擁護する』(ペンギン・ブックス刊)で述べる。

人には自分の体を改造する権利があるが、「四六時中、おまえの体はおかしいと批判されない社会で生きる権利」も持っていると彼女は書く。

現状を変える手段としてチェンバーズが提案するのが、無法地帯になりやすいD2C型美容企業とその広告の規制強化。セレブの修整した体だけでなく障害のある体や肥満体も見せる「視覚イメージの多様化」も、有効だという。

こうした試みの先には、容姿が「自信」と「恥」の二元論に縛られない社会が垣間見える。そんな社会が実現すれば、私たちは自然体で存在し、容姿以外から自己肯定感を得ることができるだろう。

©2022 The Slate Group

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