中国警察からの一本の電話が......特殊詐欺に1億5000万円をだまし取られた初老男性の驚愕の実話

全財産を失った詐欺被害は一本の電話から始まった © 2023 Forces Unseen, LLC.
<自らの経験を「半分ドキュメンタリー、半分スパイスリラー」のような主演映画『ジェリーの災難』に仕立てたジェリー・シューが語ったこと>
警視庁捜査2課の××です。あなたに大阪府警管轄下で起きた詐欺事件の嫌疑がかかっています。
イケダ キヨマサ38歳が逮捕され、自宅から楽天銀行のカード4000枚が押収され、その中にあなた名義のカードがありました。いまお話よろしいでしょうか。捜査に関わることなので、個人情報を確認させてください。周りに人がいない場所に移動していただけますか――。
これは筆者が昨年11月に受けた電話。警察に聞いたところ、楽天銀行の口座は危ないので××の口座に資金を移してください、という話に持っていかれるそうだ。
昨年、日本における特殊詐欺の被害額は過去最悪の721億円以上、今年1~2月だけでも106億円以上に上ったという。オレオレ詐欺や警官をかたる詐欺などさまざまな手口がある。
高齢者を中心に被害が広がっているが、これはもちろん日本だけの話ではない。
例えばアメリカで大変な額の被害に遭った、年金暮らしをしていたジェリー・シュー。特殊詐欺にだまされ、退職金を含む全財産98万ドル(約1億5000万円)を失った。
この事件をジェリー自身の主演・脚本で映画化にしたのが、日本公開中の『ジェリーの災難』だ。息子のジョン・シューがプロデューサー、ジョンの友人であるロー・チェンが監督を務めている。
定年退職した69歳のジェリーは妻と離婚し、3人の息子とも離れて暮らしていた。ある日、中国警察から緊急の電話があり、国際的なマネーロンダリング事件で自身が第一容疑者になっていると知らされる。逮捕して中国に強制送還すると告げられたジェリーは、中国警察のスパイとして事件の捜査に協力させられることに。数カ月間、この潜入捜査について隠していたが、ついに家族に全てを打ち明けて――。
大変な事件を映画にした経験について、ジェリーと息子のジョン、ロー監督に本誌・大橋希が話を聞いた。
――今は生まれ故郷の台湾に戻っているが、そちらの生活はどうか。
とても便利で快適な生活を送っている。食べ物は美味しいし、どこへ行くにも交通の便が良く、自分で運転しなくてもいいからその点でも楽だ。僕は料理が好きなので料理もするし、教会に通ったり、高齢者向け無料ジムを利用したりしている。
収入については、アメリカの社会保障に入っていたため年金が毎月支給されている。決して贅沢な生活ではないが、まあまあ普通に暮らしている。